高校野球 2019.08.19
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- 中京学院大学附属中京高等学校
元選手 決勝満塁弾 終盤の好機逃さず 逆転の中京学院大中京 初4強

作新学院-中京学院大中京 8回裏中京学院大中京無死満塁、元が左越えに逆転満塁本塁打を放つ=甲子園球場で(芹沢純生撮影)
■監督の教え8回に
チームの勢いを象徴するような打球が、左翼ポール際に吸い込まれた。1点を追う8回。3連続四球でもらった好機で、中京学院大中京の7番・元謙太(げん・けんだい)外野手(2年)が、代わったばかりの作新学院・坂主の直球を振り抜いた。起死回生の逆転満塁本塁打。甲子園の大声援を浴びながら、元は何度も右腕を突き上げた。
「詰まったけど、飛び方が良かったので入ったと思った。『行ってこい』『任せた』と声をかけてくれた3年生に感謝です」。岐阜大会決勝の大垣日大戦から3回戦の東海大相模戦まで、3戦連続で7回に大量点を奪って逆転。0-3で迎えたこの日の7回も2点を返して反撃の口火を切り、8回の逆転につなげた。
「全打席の凡打を生かす」との橋本哲也監督(55)の教えを、大舞台で体現した。2回の第1打席で詰まった二飛に倒れた反省から、8回の第4打席は打席で立つ位置を捕手寄りに変えた。
「後ろに立つことで、少しでも長く球を見ようとした」。普段は打席中央に立つが、球速以上の伸びを感じ、打つポイントをやや前寄りに意識。高校通算5本目で、自身初の満塁弾につなげた。
186センチ、78キロの恵まれた体格を誇る投打二刀流。右肘を痛めた今春以降は野手中心で出場してきたが、本職は最速140キロ超の投手だ。今大会は3戦とも左翼で先発し、途中から登板。5回からマウンドに上がったこの日は、7回2死から連続四死球で、一度は右翼に移ったが、橋本監督に「まだ行けます」と直訴して、8回から再登板。そして、最後を締めた。
■ここまで来たら頂点
1963年の創部から春夏通じて初めて立つ準決勝の舞台。相手は奥川を擁する星稜に決まった。社会人のNTT西日本で指揮を執った経験を持つ橋本監督は「ここまで来たら、どん欲に頂点を狙おうと選手に話す」と頂点を見据えた。勢いのまま、ナンバーワン右腕にぶつかる。 (麻生和男)
◆1日2本の満塁本塁打は2度目 準々決勝第2試合で中京学院大中京の元謙太が作新学院戦で、第3試合では星稜の今井秀輔(ともに2年)が仙台育英戦で満塁本塁打を放った。1日に2本の満塁本塁打が出たのは2017年8月19日の3回戦、盛岡大付-済美で盛岡大付の小林由伸と済美の吉岡秀太朗が打ち合って以来、2年ぶり2度目。今大会の満塁本塁打は、開幕試合で八戸学院光星の下山昂大が誉戦で記録した1本を含め計3本。過去最高は08年の1大会5本。
○…準々決勝…○
作新学院(栃木) 300000000ー3
中京学院大中京(岐阜) 00000024xー6
本塁打 石井(1)(不後1回3点)元(1)(坂主8回4点)
(2019年8月19日 中日スポーツ8面より)