高校野球 2024.08.11
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中京大中京 初戦突破 粘りで逆転 振り切る
甲子園球場で10日に開かれた第106回全国高校野球選手権大会の1回戦で、県代表の中京大中京は4-3で宮崎商(宮崎)との接戦を制した。最多優勝7回を誇る伝統校が同大会での100試合目を白星で飾り、新たな歴史の幕を開けた。2回戦は15日午前8時から、神村学園(鹿児島)と対戦する。
中京大中京は7回に勝ち越しを許す苦しい試合を制し、宮崎商を振り切った。一塁側スタンドには中京大中京の生徒や保護者、関係者らが多く駆け付け、吹奏楽部の音楽に合わせて応援。好機では、ひときわ大きな声援が選手たちの背中を押した。
4回、杉浦正悦主将(3年)が三塁への盗塁を成功させると、相手捕手の三塁への悪送球を誘い、先制のホームを踏んだ。スタンドでは、野球部員の松本心真(しま)さん(同)が「(杉浦主将の)三盗は初めて見た。まさかという感じ」と笑顔を見せた。
続く2死二、三塁の好機では、チャンステーマが流れる中、松山侑樹選手(同)が適時内野安打を放ち、2点目を挙げた。
チアリーディング部の井上和瑚部長(同)は「憧れの聖地に立てた」と気合十分。オレンジ色のポンポンでスタンドを彩り、「選手たちが笑顔でプレーできるように」とエールを送っていた。
5回まで無失点の好投を続けていた先発のエース中井遥次郎投手(同)は、6回途中に2失点で同点とされ、田中太久哉投手(2年)と交代。1点を勝ち越された直後の7回裏、1死から神谷倖士朗選手(3年)が二塁打で出塁すると、杉浦主将と仲健太郎選手(同)が連続適時打を放ち、2点を奪い逆転した。
■「憧れの聖地」 声援で背中押す
応援団長の東(あずま)伸之輔さん(同)は「自分たちがよりいっそう盛り上がって、1点取ろうと応援した。杉浦と仲には県大会の時から何回も助けてもらっているので期待していた。粘りの中京らしい試合ができた」と喜んでいた。
8、9回は、田中投手が打たせて取る投球でともに打者3人で切り抜け、1点のリードを守り切った。最後の打者を右飛に打ち取ると、ひときわ大きな拍手がスタンドから送られた。 (内山陽貴)
■サインは 「すし」 力もらい追加点
打席からベンチを見ると、高橋源一郎監督が両手ですしを握るポーズをしていた。すし好きで、シブがき隊の「スシ食いねェ!」を応援歌とする9番打者松山侑樹選手(3年)の緊張をほぐす「サイン」だ。「心に余裕ができた」と、リラックスして高めの直球をはじき返した。
好機で回ってきた4回2死二、三塁の打席。自分の前の打席では、先発していたエースの中井遥次郎投手(同)がバント失敗でアウトになり、「点を入れないと流れが向こうに行く。中井がミスを引きずらないように」と気合を入れていた。振り抜いた打球は相手投手のグラブをはじき、適時内野安打でチーム2点目を挙げた。
■松山選手 「キーマン」 期待応える適時打
先頭で打席に立った3回にも遊撃手の頭上を越える鋭い安打を放つなど、試合前から、今大会で得点にからむ「キーマン」と挙げていた高橋監督の期待に応え、チームを初戦突破へと導いた。
アルプス席では、福井市から駆け付けた祖父の永平善一さん(73)が「最高にうれしい」と孫の活躍に目を細めた。高校野球が大好きで、松山選手が進学前から甲子園でプレーする日を楽しみにしていた。
松山選手にとっては、いろんな場所に連れて行ってくれたり、福井の食材を送ってくれたりする「大好きなおじいちゃん」。「甲子園で活躍して日本一になり恩返しがしたい」と勝ち進む力をくれる存在でもある。
目指す場所はまだまだ遠い。「先のことは考えず、目の前の一戦を大事にしていきたい」と気を引き締める。
「後ろにつなげるのが自分の役割。次も徹底したい」。次戦も9番打者のいぶし銀の仕事から目が離せない。
(水谷元海、内山陽貴)
(2024年8月11日 中日新聞朝刊9面より)
中京大中京は7回に勝ち越しを許す苦しい試合を制し、宮崎商を振り切った。一塁側スタンドには中京大中京の生徒や保護者、関係者らが多く駆け付け、吹奏楽部の音楽に合わせて応援。好機では、ひときわ大きな声援が選手たちの背中を押した。
4回、杉浦正悦主将(3年)が三塁への盗塁を成功させると、相手捕手の三塁への悪送球を誘い、先制のホームを踏んだ。スタンドでは、野球部員の松本心真(しま)さん(同)が「(杉浦主将の)三盗は初めて見た。まさかという感じ」と笑顔を見せた。
続く2死二、三塁の好機では、チャンステーマが流れる中、松山侑樹選手(同)が適時内野安打を放ち、2点目を挙げた。
チアリーディング部の井上和瑚部長(同)は「憧れの聖地に立てた」と気合十分。オレンジ色のポンポンでスタンドを彩り、「選手たちが笑顔でプレーできるように」とエールを送っていた。
5回まで無失点の好投を続けていた先発のエース中井遥次郎投手(同)は、6回途中に2失点で同点とされ、田中太久哉投手(2年)と交代。1点を勝ち越された直後の7回裏、1死から神谷倖士朗選手(3年)が二塁打で出塁すると、杉浦主将と仲健太郎選手(同)が連続適時打を放ち、2点を奪い逆転した。
■「憧れの聖地」 声援で背中押す
応援団長の東(あずま)伸之輔さん(同)は「自分たちがよりいっそう盛り上がって、1点取ろうと応援した。杉浦と仲には県大会の時から何回も助けてもらっているので期待していた。粘りの中京らしい試合ができた」と喜んでいた。
8、9回は、田中投手が打たせて取る投球でともに打者3人で切り抜け、1点のリードを守り切った。最後の打者を右飛に打ち取ると、ひときわ大きな拍手がスタンドから送られた。 (内山陽貴)
■サインは 「すし」 力もらい追加点
打席からベンチを見ると、高橋源一郎監督が両手ですしを握るポーズをしていた。すし好きで、シブがき隊の「スシ食いねェ!」を応援歌とする9番打者松山侑樹選手(3年)の緊張をほぐす「サイン」だ。「心に余裕ができた」と、リラックスして高めの直球をはじき返した。
好機で回ってきた4回2死二、三塁の打席。自分の前の打席では、先発していたエースの中井遥次郎投手(同)がバント失敗でアウトになり、「点を入れないと流れが向こうに行く。中井がミスを引きずらないように」と気合を入れていた。振り抜いた打球は相手投手のグラブをはじき、適時内野安打でチーム2点目を挙げた。
■松山選手 「キーマン」 期待応える適時打
先頭で打席に立った3回にも遊撃手の頭上を越える鋭い安打を放つなど、試合前から、今大会で得点にからむ「キーマン」と挙げていた高橋監督の期待に応え、チームを初戦突破へと導いた。
アルプス席では、福井市から駆け付けた祖父の永平善一さん(73)が「最高にうれしい」と孫の活躍に目を細めた。高校野球が大好きで、松山選手が進学前から甲子園でプレーする日を楽しみにしていた。
松山選手にとっては、いろんな場所に連れて行ってくれたり、福井の食材を送ってくれたりする「大好きなおじいちゃん」。「甲子園で活躍して日本一になり恩返しがしたい」と勝ち進む力をくれる存在でもある。
目指す場所はまだまだ遠い。「先のことは考えず、目の前の一戦を大事にしていきたい」と気を引き締める。
「後ろにつなげるのが自分の役割。次も徹底したい」。次戦も9番打者のいぶし銀の仕事から目が離せない。
(水谷元海、内山陽貴)
(2024年8月11日 中日新聞朝刊9面より)