進学ナビ

HOME > 高校ニュース > 全て

高校ニュース

お知らせ 2024.05.15

この記事の関連校
東邦高等学校

なごや平和の日 名古屋空襲犠牲者悼む 「声上げ戦争繰り返さない」

「なごや平和の日」制定までの取り組みを発表する東邦高の生徒

「なごや平和の日」制定までの取り組みを発表する東邦高の生徒

 太平洋戦争中の名古屋空襲の犠牲者を悼むため、市が制定した「なごや平和の日」の14日、岡谷鋼機名古屋公会堂(昭和区)で祈念式典があった。制定のきっかけになる運動を始めた東邦高校(名東区)の生徒たちが「声を上げ続けることで、戦争を繰り返さないための力をつけていきます」と平和への思いを宣言した。(四方さつき)

■昭和区で祈念式典 東邦高生が宣言

 式典には空襲体験者や市関係者ら100人が参加した。河村たかし市長はあいさつで、名古屋空襲で左目を失明しながら、国の補償から外された民間の空襲被害者の救済運動に取り組んだ故杉山千佐子さんの思いを紹介。「制定は杉山さんの願いの一つだった。戦争をリアリズムの立場で考えられるように、子どもたちの気持ちを社会に向けなければいけない」と述べた。

 二度の名古屋空襲を体験した春日井市の森下規矩夫(きくお)さん(86)は家を焼かれ、疎開先で食糧不足の苦しい生活を送った日々や、爆撃から逃げる途中で家族とはぐれた経験などを話した。「戦争中は、思ったことを自由に話せなかった。終戦で解放され、体が軽くなった」と平和を実感した日を語った。

 東邦高校からは、3年西岡さん(17)、同高橋さん(17)、2年柴崎さん(16)、同村上さん(16)が登壇。同校は前身の東邦商業学校の生徒や教員が空襲で命を落としており、2014年から、犠牲者を慰霊する日の制定を求めて活動してきた。これまでの取り組みを紹介し「戦争は過去のことなのでしょうか。皆さんの願う平和とはなんですか?」と問いかけた。

 4人は式典の最後に「情熱と決意を持って行動し、未来の世代に平和な地球を引き継ぐために、私たちの声を沈黙させてはならないと強く思います」と平和合同宣言を読み上げた。西岡さんは「高校生が戦争について語り継ぎ、考え、行動していくことが大事だとあらためて感じた」、柴崎さんは「平和のバトンを世界中の人につなぎ続けていきたい」と話した。

■名古屋空襲

 航空機産業の一大拠点として米軍に狙われ、1942年4月18日~45年7月26日に63回の空襲があった。市史によると、死者7858人、負傷者1万378人。45年5月14日は最多の472機のB29が来襲し、市街地を広範囲に爆撃。名古屋城天守閣も焼失した。平和の日の制定は、空襲で生徒、教員計22人が犠牲になった東邦高校(当時は東邦商業学校、名東区)の生徒の約10年間の活動がきっかけとなった。

(2024年5月15日 中日新聞朝刊市民版より)

戻る < 一覧に戻る > 次へ