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スポーツ 2024.05.08

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多治見西高等学校

多治見西高ソフトボール部・上松監督 初の全国V 躍進の秘密は

部員に身ぶり手ぶりを加えて指導する上松監督(左)=多治見市明和町の多治見西高で

部員に身ぶり手ぶりを加えて指導する上松監督(左)=多治見市明和町の多治見西高で

 多治見西高校(多治見市明和町)のソフトボール部が、3月に静岡県富士宮市で開かれた全国高校女子ソフトボール選抜大会で初優勝を成し遂げた。高校ソフトボールでは選抜大会に加えて全国高校総体(インターハイ)、国民スポーツ大会などの全国大会がある。これまで準優勝や、試合が消化しきれず4校同時での優勝経験はあったが、単独優勝は創部72年目で初。その強さの秘密は-。

 選抜大会は47都道府県の代表に開催地代表を加えた48チームのトーナメント制で争われる。多治見西高は1年生の時から全国の舞台を経験するレギュラー7人が中心となり、5試合でわずか1失点の守りの野球を披露。3年の主将(18)は「ずっと明るく、ミスしても切り替えてプレーできる環境が良かった」と分析する。

 攻撃面では次の打者へヒットや四球でつなぐソフトボールが武器。打者が2ストライクと追い込まれた状態から、ボール球を見極め、際どい球はファールにして、甘い球を仕留める練習を積み重ねてきたという。

 就任して32年目を迎えた上松美香子監督(58)は、3年目でインターハイ準優勝を成し遂げ、全国常連校にまで押し上げたが、さまざまな変化への適応に苦労したという。そのうちの一つが2006年に投手板から本塁までの距離が12.19メートルから13.11メートルに改正されたこと。たった1メートルの変化だが、それまでの投高打低から打高投低になり、戦術が変わったという。

 勝ち抜くために必要なのは、さまざまなタイプの投手を擁して、相手打者の目を慣らさせないことなのだという。選抜大会でも、ソフトボール特有で打者の手元で浮き上がる「ライズボール」を得意とする投手と、打者の手元で落ちるボールを得意とする投手の二枚看板で、相手打者の的を絞らせなかった。

■脱根性論、ルール変更にも適応

 指導方法も変化した。就任当初は根性論でひたすら練習をこなした。近年は、部員たちに練習内容ひとつひとつの意義を説明するようになったという。上松監督は「昔と比べて練習時間の3分の1ほどは話す時間になったと思う」と話す。練習内容も、ロープを上ったり、ベンチプレスをしたりと科学的根拠に裏打ちされた体幹トレーニングに変わっていった。

 多治見西高には寮がなく、高校近くの一軒家で部員の一部が生活する。2018年までは、多治見市や瑞浪市の飲食店が部員を受け入れていた。上松監督は「地域の人に支えてもらえたからこそ今がある」と感謝する。

 これから7月のインターハイや国民スポーツ大会の予選が控える。上松監督は「3冠を狙いたい」とさらなる高みを目指す。(吉田英悟)

(2024年5月8日 中日新聞朝刊可茂版より)

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