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桜丘 反撃ならず

誉-桜丘 9回表、再登板した桜丘の堀尾=岡崎市民球場で
誉は投打がかみ合い、桜丘の反撃を許さなかった。
誉は1回2死一、三塁から、林山の左越え二塁打で先制。4回は、四球を足がかりに1死満塁とし、手塚の右前打で2点を加え、流れを引き寄せた。その後も5回には杉本の2点適時打、8回は沢野、吉田、林山の三連打と犠飛で3点を加え、試合を決めた。内角を強気に攻めた先発杉本は6回1失点で試合をつくり、山口が3回無失点で試合を締めた。
桜丘は、6回無死満塁で併殺の間に1点を返したが、後続が三振に倒れた。4回以外は毎回走者を出したが、3併殺で好機を生かせなかった。
■猛練習 支え合い躍進 藤代主将、監督の言葉を胸に
「勝って監督を見返してやりたい」と桜丘の藤代主将(3年)は夏の大会に臨んだ。
新チーム発足後、杉沢哲監督から「桜丘史上最弱のチーム」と言われ続けた。体力をつけ、精神的にも強くなることが求められた。昨秋から練習の中心となったのが筋力トレーニング。うさぎ跳びで急な坂を上ったり、タイヤを引きながら走り込むなど厳しい練習の繰り返し。それでも藤代主将らが先頭に立ってチームを引っ張った。
今春から毎試合後、帰りのバスなどで自主的にミーティングを開き、反省点を指摘し合った。「みんなで支え合ったチームだった」
今大会は初戦以外の4試合を逆転で勝ち進み、「桜丘史上最高の成績」を残した。藤代主将は「体力も精神力もきつい練習で鍛えられ、試合ごとに成長していった」と振り返った。
■集大成 9回再登板 堀尾投手 意地見せ三者凡退
「3年間やってきた集大成を三者凡退で締めくくろう」。9回、一度は降板した桜丘のエース堀尾投手(3年)が再びマウンドに上がった。内野ゴロ2つで2死を取り、最後は直球で右直に仕留め、この回の攻撃を3人で終わらせた。
レベルアップしようと今冬、1週間で計100キロの全力ダッシュと、2週間で2000球の投げ込みをした。過酷さに気持ちが折れかけたが、吉見投手(同)がひたすら投げ込む姿を見て、負けじと取り組み、球の質を高めた。「つらくても踏ん張る力が鍛えられたから決勝まで進めた」。
今大会、全5試合を本格派の堀尾投手と横手の吉見投手が継投してきた。「吉見がいるおかげで初回から全力で投げられた」と感謝する。この日、前日の準決勝で129球を投げた吉見投手を休ませたかったが、3点を失い4回途中でマウンドを譲った。交代時に「あとは頼む」としか言えなかったが、試合後、2人は「ナイスピッチング。ありがとう」とたたえ合った。
堀尾投手は「力は出し切った」と爽快な表情を浮かべ、「大学でも野球を続けて豪腕と呼ばれるような投手を目指したい」と前を向いた。(鎌田旭昇)
■「ビバ!サクラ!」 熱い応援が後押し
「ビバ!サクラ!」。桜丘のチアリーダー部をまとめる野田さん(3年)は明るく叫んだ。今大会、学校関係者の提案で急きょ早稲田大応援部の応援歌「Viva Waseda」を加えることになった。自校風にアレンジし、2時間で完璧に仕上げた。イタリア語で「万歳」を意味する言葉とともに、桜丘は決勝まで駆け上がった。
決勝は学校からバス12台で職員と生徒合わせて約550人が駆け付け、スタンドを校名にちなんだタオルやメガホンでピンク色に染めた。「私たちの努力が報われた。決勝まで連れてきてくれた野球部には感謝しかない」と野田さんは誇らしげだった。
(2019年7月30日 中日新聞朝刊県内版より)