スポーツ 2023.12.30
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全国高校サッカー 名古屋が初戦突破
全国高校選手権第2日は29日、千葉県柏の葉公園総合競技場などで1回戦15試合が行われ、5度の優勝を誇る市船橋(千葉)が郡司の3得点などで高川学園(山口)に4-1で快勝した。静岡学園は明徳義塾(高知)に6-0で大勝した。
夏の全国高校総体を制した明秀学園日立(茨城)は徳島市立に2-0で勝ち、日章学園(宮崎)と対戦した初出場の名古屋(愛知)は1-1からのPK戦を制した。昌平(埼玉)前橋育英(群馬)東海大大阪仰星、佐賀東なども勝ち上がった。前回覇者の岡山学芸館や2大会ぶりの優勝を狙う青森山田は31日の2回戦から登場する。
■初出場 粘りの守り光る
1-1のまま残り10分を切ると、相手はゴール前のエースを目がけてひたすらボールを蹴り込む。名古屋は時には3人以上で囲んで封じ、時計の針を進めて最後はPK戦を制した。「失点しないことを優先した。プラン通りうまくいった」と主将のMF田中。徹底した守備が勝利への唯一の道筋と信じ、進み続けた。
相手FWの高岡をどう抑えるかが全てだった。U-17(17歳以下)日本代表で、11月の世代別のW杯では4得点。スピードと決定力を兼ね備える逸材に山田監督も割り切った。「1対1ではとても勝てない。常に2対1をつくり続けて挟み込む」。要となったのがCB足立だった。
試合序盤からまとわりつくようにして高岡を自由にさせない。「初速が速いので、ボールを受けてゴール方向に振り向いた瞬間に距離を詰めた」。それを合図に味方が加勢して、スピードに乗る前に出ばなをくじいた。前半に1点ずつ取り合い、後半からは、最終ラインに6人もの選手が並んで壁をつくる。県大会決勝と同様、自信を深めるPK戦にひきずり込んだ。
初戦突破は愛知県勢として8大会ぶり。田中は誇らしげに言った。「さらに新たな歴史を刻めるように準備したい」。勝利という結果こそが、自分たちの戦い方を正解にする。(須江政仁)
■帝京大可児 後半に逆転
帝京大可児(岐阜)の仲井監督がハーフタイムに出した指示はシンプルだった。「恐れずに続けていこう」。テクニックを織り交ぜた攻撃的なスタイルを貫き、後半に2得点。逆転勝ちで初戦を飾った。
後半14分に松井の縦パスから中央を崩し、エースの加藤が左足でまず同点。勢いそのままに、7分後には加藤のドリブルがやや大きくなったこぼれ球に対し、「思い切りいこうと決めていた」という松井が右足を振り抜き、ミドルシュートで歓喜を呼んだ。
前半はあせってもおかしくない展開だった。1点を奪われた後も、相手の堅い守備を崩せない。それでも「じれずに自分たちのサッカーをやれば追いつけるし、逆転できる」と松井が言ったように、攻め続け、相手ゴールを強引にこじ開けてみせた。
5大会連続の全国舞台ながら最高成績は16強。「1試合でも多くこのサッカーを見せたい」と語る指揮官の表情には、使命感がにじんでいる。(深世古峻一)
▽1回戦
名古屋 1-1 日章学園
(愛知)PK4-2(宮崎)
▽得点者
【名】足立【日】皆川
帝京大可児 2-1 柳ケ浦
(岐阜) (大分)
▽得点者
【帝】加藤、松井【柳】中川
(2023年12月30日 中日新聞朝刊19面より)
夏の全国高校総体を制した明秀学園日立(茨城)は徳島市立に2-0で勝ち、日章学園(宮崎)と対戦した初出場の名古屋(愛知)は1-1からのPK戦を制した。昌平(埼玉)前橋育英(群馬)東海大大阪仰星、佐賀東なども勝ち上がった。前回覇者の岡山学芸館や2大会ぶりの優勝を狙う青森山田は31日の2回戦から登場する。
■初出場 粘りの守り光る
1-1のまま残り10分を切ると、相手はゴール前のエースを目がけてひたすらボールを蹴り込む。名古屋は時には3人以上で囲んで封じ、時計の針を進めて最後はPK戦を制した。「失点しないことを優先した。プラン通りうまくいった」と主将のMF田中。徹底した守備が勝利への唯一の道筋と信じ、進み続けた。
相手FWの高岡をどう抑えるかが全てだった。U-17(17歳以下)日本代表で、11月の世代別のW杯では4得点。スピードと決定力を兼ね備える逸材に山田監督も割り切った。「1対1ではとても勝てない。常に2対1をつくり続けて挟み込む」。要となったのがCB足立だった。
試合序盤からまとわりつくようにして高岡を自由にさせない。「初速が速いので、ボールを受けてゴール方向に振り向いた瞬間に距離を詰めた」。それを合図に味方が加勢して、スピードに乗る前に出ばなをくじいた。前半に1点ずつ取り合い、後半からは、最終ラインに6人もの選手が並んで壁をつくる。県大会決勝と同様、自信を深めるPK戦にひきずり込んだ。
初戦突破は愛知県勢として8大会ぶり。田中は誇らしげに言った。「さらに新たな歴史を刻めるように準備したい」。勝利という結果こそが、自分たちの戦い方を正解にする。(須江政仁)
■帝京大可児 後半に逆転
帝京大可児(岐阜)の仲井監督がハーフタイムに出した指示はシンプルだった。「恐れずに続けていこう」。テクニックを織り交ぜた攻撃的なスタイルを貫き、後半に2得点。逆転勝ちで初戦を飾った。
後半14分に松井の縦パスから中央を崩し、エースの加藤が左足でまず同点。勢いそのままに、7分後には加藤のドリブルがやや大きくなったこぼれ球に対し、「思い切りいこうと決めていた」という松井が右足を振り抜き、ミドルシュートで歓喜を呼んだ。
前半はあせってもおかしくない展開だった。1点を奪われた後も、相手の堅い守備を崩せない。それでも「じれずに自分たちのサッカーをやれば追いつけるし、逆転できる」と松井が言ったように、攻め続け、相手ゴールを強引にこじ開けてみせた。
5大会連続の全国舞台ながら最高成績は16強。「1試合でも多くこのサッカーを見せたい」と語る指揮官の表情には、使命感がにじんでいる。(深世古峻一)
▽1回戦
名古屋 1-1 日章学園
(愛知)PK4-2(宮崎)
▽得点者
【名】足立【日】皆川
帝京大可児 2-1 柳ケ浦
(岐阜) (大分)
▽得点者
【帝】加藤、松井【柳】中川
(2023年12月30日 中日新聞朝刊19面より)