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高校野球 2023.03.29

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選抜高校野球 東邦 あと一歩届かず

報徳学園にタイブレークでサヨナラ負けし、応援スタンドに向かう東邦ナイン=甲子園球場で

報徳学園にタイブレークでサヨナラ負けし、応援スタンドに向かう東邦ナイン=甲子園球場で

 延長のタイブレークにもつれこんだ試合は、惜しくもサヨナラ負け。甲子園球場の第95回記念選抜高校野球大会で、東邦(名古屋市名東区)は28日、3回戦で報徳学園(兵庫)と対戦し、4-5で敗れた。先制を許すも、3点を追いかける7回には集中打で同点に。粘りの東邦野球を見せたが、延長であと一歩及ばなかった。 (森本尚平、下條大樹)

■終盤同点 スタンド懸命の応援

 雲一つない青空に、東邦のスクールカラーの緑色が映え、爽やかな声援が響き渡った。相手の報徳学園は、甲子園球場の地元・兵庫の学校。「アウェー」のような雰囲気にも負けず、スタンドの硬式野球部員や生徒、保護者、OBら800人は声をからして最後まで「あと1本」を信じ続けた。

 2、3回に1点ずつ入れられ、序盤から苦しい展開。そんな中、4回に岡本選手(3年)が適時打を放ち、1点を返す。部員の田中さん(同)は「岡本はこの大会、やってくれる。まだ序盤。絶対に打ってくれる」と、さらに期待を込めた。

 しかし直後に相手に2点を返されてしまう。頭を抱える部員がいる中、得意の指笛で選手らを鼓舞し続けた沖縄県出身の新1年、仲嶺さんは「苦しい空気が流れているが、東邦は打線がつながればすごい。大丈夫」と信じた。

 そんな仲嶺さんらの思いが、選手らに届く。7回、南出選手(3年)と中村選手(同)の適時打などで同点に追い付くと、スタンドはこの日1番の盛り上がりに。「やったあ」「めっちゃうれしい」。皆の笑顔がはじけ、中村選手の父(43)は「チームのためにやってくれた。十分だ」と息子のプレーをたたえた。

 同点のまま迎えた9回の攻撃を前に、応援団長(同)がかすれた声で「逆転の東邦を見せましょう」とスタンドに呼びかける。「T! O! H! O! TOHO! 東邦!」。部員らは同校名物の応援曲「戦闘開始」を叫ぶように歌った。

 互いに得点できずに終わった9回の攻防、無死一、二塁で始まる延長10回のタイブレーク…。部員らは何度も手を合わせ、目を閉じ、勝利を祈り続けた。一歩及ばずに敗れると、試合後はナインに大きな拍手を送った。

 服部さんは「最後まで粘り、よくやってくれた」とねぎらい、「夏は自分が選手として活躍できるよう、今日から頑張りたい」と前を向いた。

■「動き」工夫 マーチング部

 東邦のマーチングバンド部らしい応援が垣間見えた。足を組んだり、足踏みをしたりと、制約の中でも持ち味を発揮し、選手の活躍を後押しした。

 今大会は声を出しての応援が解禁されたが、楽器演奏では楽器を動かさずに正面を向いて演奏する必要があり、一定の制約が残る。楽器を左右に振るなどの動きが特徴の同部の応援はまだできない。

 その中で部員たちは試行錯誤し、2回戦から演奏中に足を動かした。3回戦は、声を出す「コール」や歌う時に、楽器を置いてチアリーダーを務めるバトン部と同じ動きで踊った。

 ルールの中で少しずつ自分たちらしい応援スタイルを模索した。副部長は「動きを使って応援するのが私たちの持ち味なので、やっぱり楽しかった」と笑顔を見せた。

東邦 0001003000|4
報徳学園 0112000001x|5
(延長10回、10回からタイブレーク)
(邦)宮国、岡本-南出、荒島
(報)今朝丸、間木、盛田-堀
本塁打 林(報)

(2023年3月29日 中日新聞朝刊県内版より)

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