千種区の愛工大名電高校の生徒らが、痴漢や盗撮の被害撲滅に向けた県警鉄道警察隊のメッセージ動画を制作した。大学生や高校生も被害に遭う中、１４日からの大学入学共通テストを前に、市営地下鉄の一部駅や映画館などで動画を流し、被害防止につなげる。

　情報デザイン部とメディアコミュニケーション部の生徒ら３人で制作した。痴漢から身を守るため▽混雑を避ける▽死角に注意▽女性を味方に－という３つの対策を示し、車内での痴漢被害の相談ダイヤル「ふれあいコール」を紹介。シンプルな色使いでデザインし、１分ほどの動画にまとめた。

　県警によると、２０２２年に鉄道警察隊へ寄せられた痴漢や盗撮の相談件数は３１１件。受験生の子がいる保護者らの試験に向けて対策を求める声が制作を後押しした。

　動画は県警本部内で披露され、生徒を代表して２年の生徒（１７）が感謝状を受け取った。生徒は「痴漢が起こりやすい状況と対策を動画で具体的に伝え、被害が減るとうれしい」と期待。鉄道警察隊の日名地敬子隊長は「時間のない生徒らを狙う痴漢は絶対に許せない。試験で力を発揮できるようにしたい」と語った。　（山本拓海）

（2023年1月9日　中日新聞朝刊市民総合版より）