- この記事の関連校
- 東邦高等学校
平成最後の王者・東邦まさかの敗退 「春夏」逃すコールド…センバツ疲れか
愛知では、今春センバツ優勝の東邦が、2回戦で星城に3-10で8回コールド負けを喫する波乱が起きた。沖縄大会では、3年連続の出場を目指す興南が具志川商を8-0で下し、準々決勝に進んだ。今秋のドラフト候補で岡山・創志学園の西純矢投手(3年)はMAX150キロで7イニングを2失点、チームも11-2の快勝だった。
ぼうぜんとする東邦ナインの表情が、大波乱を物語っていた。平成最後のセンバツを制し、令和最初の甲子園制覇を目指した夏。連覇の夢は道半ばどころか、1勝しただけの2回戦、しかもコールド負けで幕を閉じた。
「とにかく悔しい。勝てた試合だったと思うので。それが悔しい」。今秋ドラフト上位候補の主砲、石川昂弥内野手(3年)は、現実を受け止めきれない様子で淡々と話した。「3番・投手」で今大会初登板。だが、7イニングで3本塁打を浴びるなど13安打9失点の乱調だった。「もう1回、甲子園に行きたい気持ちはあった」と肩を落とした。
星城の最速146キロ右腕、石黒から、3回に5番・長屋の2点適時二塁打などで3点を先制。だが、石川が直後に4番・河田に反撃の2ランを浴び、1点差に詰め寄られた。さらに、4回は先頭の7番・稲吉に同点弾を献上。そこからの5連打などで4点を失った。
■監督「肘 状態良くない」
「抑えようと力が入って、逆に球が甘くなった」。石川は言い訳することなく、責任を背負い込んだが、森田泰弘監督(60)は「石川は肘の状態が良くなかった。他の投手の先発も考えたほどだった」と打ち明けた。本職は三塁手ながら、センバツではエースナンバーを背負って全5試合に先発。投打で日本一に貢献した分、蓄積した疲労が影響したようだ。
センバツで30年ぶりに頂点に立ち全国の強豪から追われる立場になった。石川は「相手が向かってくる。その中で、どう戦うか。難しさがあった」と振り返った。春は県大会初戦で中部大第一に敗戦。今夏は、石川自身は1回戦の天白戦の第1打席で高校通算54本目の本塁打を放つなど快調にスタートしたが、石川と並ぶ中心選手である1番・熊田は腰痛を訴え、2日前に練習復帰したばかりだった。チーム状態は万全ではなかった。
「甲子園に2回出て、優勝もできた。いい3年間だった」。最後は不完全燃焼に終わったが、成し遂げた栄光が色あせることはない。今後はU18W杯(8月30日開幕・韓国)やドラフトもある。「日本代表に選ばれたいので、気を抜くことなく練習したい」。石川は真っすぐ前を見て、言い切った。 (麻生和男)
■ラスト一塁送球
東邦は意外な形で敗戦の瞬間を迎えた。3-9の8回は1死満塁。6番・宇山の打球は三遊間に飛んだ。この回から三塁に移った石川はボールをつかみ、二塁に送球しようとしたが、ベースカバーがなく、とっさに一塁に送球。この間に10点目が入り、コールドが成立した。本塁以外で1アウトを取っても意味はない状況だったが、石川は「満塁で三遊間の打球は、(5-4-3の)併殺を狙う練習をしてきたので…。ホームも無理だった」と振り返った。
◇愛知大会▽2回戦(春日井市民)
東邦 00300000―3
星城 00240031×―10
(8回コールドゲーム)
(東)石川、植田-成沢
(星)石黒-稲吉
本塁打 河田、稲吉、石黒(星)
(2019年7月14日 中日新聞スポーツ7面より)
ぼうぜんとする東邦ナインの表情が、大波乱を物語っていた。平成最後のセンバツを制し、令和最初の甲子園制覇を目指した夏。連覇の夢は道半ばどころか、1勝しただけの2回戦、しかもコールド負けで幕を閉じた。
「とにかく悔しい。勝てた試合だったと思うので。それが悔しい」。今秋ドラフト上位候補の主砲、石川昂弥内野手(3年)は、現実を受け止めきれない様子で淡々と話した。「3番・投手」で今大会初登板。だが、7イニングで3本塁打を浴びるなど13安打9失点の乱調だった。「もう1回、甲子園に行きたい気持ちはあった」と肩を落とした。
星城の最速146キロ右腕、石黒から、3回に5番・長屋の2点適時二塁打などで3点を先制。だが、石川が直後に4番・河田に反撃の2ランを浴び、1点差に詰め寄られた。さらに、4回は先頭の7番・稲吉に同点弾を献上。そこからの5連打などで4点を失った。
■監督「肘 状態良くない」
「抑えようと力が入って、逆に球が甘くなった」。石川は言い訳することなく、責任を背負い込んだが、森田泰弘監督(60)は「石川は肘の状態が良くなかった。他の投手の先発も考えたほどだった」と打ち明けた。本職は三塁手ながら、センバツではエースナンバーを背負って全5試合に先発。投打で日本一に貢献した分、蓄積した疲労が影響したようだ。
センバツで30年ぶりに頂点に立ち全国の強豪から追われる立場になった。石川は「相手が向かってくる。その中で、どう戦うか。難しさがあった」と振り返った。春は県大会初戦で中部大第一に敗戦。今夏は、石川自身は1回戦の天白戦の第1打席で高校通算54本目の本塁打を放つなど快調にスタートしたが、石川と並ぶ中心選手である1番・熊田は腰痛を訴え、2日前に練習復帰したばかりだった。チーム状態は万全ではなかった。
「甲子園に2回出て、優勝もできた。いい3年間だった」。最後は不完全燃焼に終わったが、成し遂げた栄光が色あせることはない。今後はU18W杯(8月30日開幕・韓国)やドラフトもある。「日本代表に選ばれたいので、気を抜くことなく練習したい」。石川は真っすぐ前を見て、言い切った。 (麻生和男)
■ラスト一塁送球
東邦は意外な形で敗戦の瞬間を迎えた。3-9の8回は1死満塁。6番・宇山の打球は三遊間に飛んだ。この回から三塁に移った石川はボールをつかみ、二塁に送球しようとしたが、ベースカバーがなく、とっさに一塁に送球。この間に10点目が入り、コールドが成立した。本塁以外で1アウトを取っても意味はない状況だったが、石川は「満塁で三遊間の打球は、(5-4-3の)併殺を狙う練習をしてきたので…。ホームも無理だった」と振り返った。
◇愛知大会▽2回戦(春日井市民)
東邦 00300000―3
星城 00240031×―10
(8回コールドゲーム)
(東)石川、植田-成沢
(星)石黒-稲吉
本塁打 河田、稲吉、石黒(星)
(2019年7月14日 中日新聞スポーツ7面より)