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お知らせ 2021.03.18

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情報を読み解く力養う 伊賀・桜丘中高 福島沖地震 「写真や図で分かりやすく」

地震を報じた紙面を手にワークシートに取り組む生徒と中尾教諭(右)=伊賀市下神戸で

地震を報じた紙面を手にワークシートに取り組む生徒と中尾教諭(右)=伊賀市下神戸で

 桜丘中学・高校では、9割近くの生徒が寮生活を送り、ほとんどの時間を学校内で過ごす。生徒たちに情報との接点を多く提供し、見極める力を養ってもらおうと、中尾武司教諭(42)の主導で実践指定校の認定を受けた。

 中学1年の理科の時間では、地震を扱った紙面から、情報を読み取る授業が実施された。

 中尾教諭が用意したのは、先月13日に福島県沖で発生した東日本大震災の余震とみられる地震を報じた複数紙の一面や解説面。配布したワークシートには「地震の観測震度の分布から読み取れることは何か」「この地震で被害が少なかった理由は」といった項目を記した。生徒たちは、しばらくの間記事を読み込み、答えを探して書き込んだ。

 この後、全員が発表し「東北の広範囲でゆれた」「1秒周期のゆれが小さく、被害が少なかった」といった内容をイラストや記事から読み取り、共有した。

 1年の男子生徒(13)は「図から読み取る勉強に使えると感じた。大事なところが大きくなっており、読みやすかった」、女子生徒(13)は「写真や図で、被害状況が分かりやすかった。ネットと違い、一目ですべての情報を見られる。テーマに注目して、状況を読み取るのに使えたらいいなと思う」と話した。

 高校の理科演習の時間には、新聞の天気図を数日分切り取って並べ、天気や風向、風力を読み取る授業に臨んだ。現代文では、関心のあるテーマについて、複数紙を読み比べる時間を設けた。要約や感想を書き、スクラップをする生徒も。情報を整理し、自分なりに捉え、意見をまとめる手助けにしているという。

 現代文の授業を担当した中戸智子教諭(42)は「大学入試の面接や小論文にもとても役立った。人と一緒に新聞を読んで議論を交わしたり、複数紙の読み比べをしたりする機会を生徒たちに提供できたのも、とてもありがたかった」と手応えを語る。

 女子寮の掲示板に「今を知る活動」というコーナーを設け、生徒がスクラップし、横に感想を記した紙を添えている。図書コーナーの一角には新聞をまとめ、自由に読むことができる。

 中尾教諭は「新聞は、ネットの情報とは違い整理されている。日々読み続けることで、時間の経過と変化を読み取ることもできる。情報を読み取り、理解を深めるのに活用してほしい」と期待している。(新居真由香)

(2021年3月18日 中日新聞朝刊伊賀版より)

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