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学生活動  2023.05.21

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江戸時代の味「鶏飯」 缶詰に 名古屋学院大生 地元企業と開発し復活

江戸時代のご当地グルメを災害時の非常食としても食べられるようアレンジした学生ら=熱田区熱田西町の名古屋学院大で

江戸時代のご当地グルメを災害時の非常食としても食べられるようアレンジした学生ら=熱田区熱田西町の名古屋学院大で

 江戸時代の熱田・宮宿のご当地グルメ「鶏飯(けいはん)」を、防災士の資格を持つ名古屋学院大(熱田区)の学生が、地元企業と連携し缶詰商品として“復活”させた。防災の視点に加え、廃棄予定だった野菜を用いるなどサステナブル(持続可能)な一品に仕上げた。 (篠塚辰徳)

■規格外の野菜活用 「防災食にも」

 同大商学部の杉浦礼子教授のゼミに所属する4年生14人が昨夏から取り組んだ。地域の歴史や食文化を調べたところ、江戸時代末期の宮宿では、トウモロコシの煮汁で炊き込んだご飯が、鶏肉に似た香ばしさがあると評判だった。鶏肉が入っていないため「鶏飯のにせもの」と人気を誇っていたという。

 ゼミ生全員が大学のプログラムで防災士の資格を取得。熱田区の住民が災害時の備えに不安を抱いているというアンケートのデータから、非常食にもなる缶詰商品を考えた。農家の情報発信や食品製造販売を手がける「あいち食研」(西区)にプレゼンし、同社の缶詰製造の技術協力を得て商品化させた。

 農家にも学生が話を聞いた。野菜は切れ端やサイズ違いなど、規格外で一般の流通に乗らない県内産のシイタケやレンコンを用いた。江戸時代の鶏飯には鶏肉が使われていなかったことから、大豆を肉に見立てた大豆ミートに味付けをし、鶏肉の食感に近づけた。

 このほか、血糖値が高い人でも気軽に食べられるよう、低カロリーで低糖質のこんにゃくを米状に加工したこんにゃく米を6割、白米4割の比率で使用した。

 缶詰のふたを開ければ、トウモロコシやシイタケなど色とりどりの具材が表面を彩る。白だしがほんのりと鼻を抜ける濃過ぎない味わいとなっている。

 商品は製造から3年間の保存が可能。容量は160グラムだが、学生たちは「腹持ちは抜群に良い」と太鼓判を押す。3月に完成し、4月1日に熱田神宮参道でのイベントで出品すると、用意した150個が完売した。災害時の防災食としてだけでなく、茶わんや皿に移して電子レンジで温めたり、お茶漬けや雑炊、オムライスにしたりするのもおすすめという。

 同大4年の小栗きなりさん(21)は「地域課題を見つけ、一つの商品として形にする過程はとても勉強になった。ぜひ防災食としても、日常の食事としても楽しんでもらいたい。愛知県のグルメに成長してくれるとうれしい」と話した。

 「あつた鶏飯」はあいち食研のオンライン販売サイト「ロクジサン」と名古屋城・金シャチ横丁のギフトショップ「えっさほいさ」で販売している。1個680円。

(2023年5月21日 中日新聞朝刊市民版より)

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