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お知らせ  2021.03.05

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ホタルの光 1億年前は緑 中部大など 現在の種から遺伝子推定

 1億年前に地球上に現れたホタルはどんな光を放っていたのか。中部大(愛知県春日井市)や長浜バイオ大(滋賀県長浜市)などの研究チームが、現在のホタルの遺伝情報から、当時のホタルの発光に関わる遺伝子を推定し、光を再現することに成功した。現在のホタルは種によって、黄緑、黄、オレンジなどさまざまな色で光るが、1億年前のホタルは緑色の光を放っていたと考えられるという。

 ホタルの仲間は世界に約2000種あるとされる。化石などから約1億年前の白亜紀に現れ、発光する能力を持っていたと考えられている。ホタルの発光は、ホタルが持つルシフェラーゼ遺伝子から作られる発光タンパク質と、体内にあるルシフェリンという化学物質が反応して起こると知られている。

 中部大の大場裕一教授(発光生物学)らは、ゲンジボタルやヘイケボタルなど約30種のルシフェラーゼ遺伝子の配列を比較した。差異や遺伝子の変化パターンなどを基に、1億年前のホタルのルシフェラーゼ遺伝子配列を導き出すことに成功。遺伝子配列から人工的にタンパク質を作製し、ルシフェリンと反応させたところ、緑色に発光した。

 緑色は、夜行性の生物にとって見やすい光という。「ホタルの多くは毒を持っており、ホタルを捕食する生き物に『まずいから食べるな』とアピールするために、発光能力を獲得したのではないか」と大場教授。その後は、相手に自分の存在を知らせる手段として発光を使い、現在のように多彩な色を放つようになったと考えられるという。研究成果は、米科学誌「サイエンスアドバンシズ」に掲載された。(芦原千晶)

(2021年3月5日 中日新聞朝刊29面より)

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