進学ナビ

HOME > 高校ニュース > 全て

高校ニュース

高校野球 スポーツ  2021.12.09

この記事の関連校
同朋高等学校

高校野球に夢を 同朋高 障がいある子と一緒に練習

「甲子園夢プロジェクト」が行った合同練習会の参加者たち=名古屋市内で(谷大平撮影)

「甲子園夢プロジェクト」が行った合同練習会の参加者たち=名古屋市内で(谷大平撮影)

 知的障がいのある生徒にも甲子園への道を-。特別支援学校の生徒と同朋高(名古屋市中村区)の硬式野球部員との合同練習会が4日、名古屋市内の同校グラウンドで行われた。中京大中京高時代に甲子園の土を踏んだ同校の松尾良亮監督(30)は、恩師の教えを胸に誰もが高校野球に打ち込める一助をしている。

■松尾監督 優しく指導する部員に「新しい可能性感じた」

 庄内川沿いにある同朋高の河川敷グラウンド。全国から集まった軽度の知的障がいのある4人の生徒と部員が一緒に白球を追い掛けた。松尾監督は自らノッカーも務めながらノックやトス打撃などの練習を見守った。部員が練習方法を優しく教える様子に「普段はなかなか見られない姿。新しい可能性を感じました」と笑顔をみせた。

■きっかけはネット

 きっかけは一つのネット記事。知的障がいのある子どもにも甲子園への道を開こうと3月に発足した「甲子園夢プロジェクト」の存在を知った。「甲子園の舞台に立ちたいという思いに障がいの有無は関係ない」との理念に心を打たれ、すぐにプロジェクト代表者に連絡を取った。

 松尾監督は中京大中京高3年の時に同級生の井藤(前中日)や2年生の堂林(現広島)らとともにセンバツに出場。試合出場はなかったがベンチ入りしてあこがれの舞台に立った。「甲子園もそうですが、高校野球の魅力をより多くの人に感じてほしい」との思いでプロジェクトへの協力に名乗り出た。

■恩師の教えを胸に

 恩師と仰ぐのは中京大中京高時代の監督で現在は享栄高で指揮を執る大藤敏行監督(59)だ。愛教大卒業後に同朋高の硬式野球部監督になると、2017年にはヘッドコーチを務めた大藤監督の下でU-18(18歳以下)W杯にアシスタントコーチとして同行した。大藤監督の「野球のうまい、下手はたいしたことじゃない」との言葉を胸に野球を通した人間形成を重視する。

■奥深く理解して

 愛知県高野連や柏原良教チームディレクターらの支えもありながら合同練習会が実現した。「子どもたちもいつかは親や上司になって人の上に立つ立場になる。技術的な成長だけじゃなく、野球というスポーツを奥深くで理解してほしいですね」と松尾監督。恩師との公式戦での対戦を心待ちにしながら、今は生徒とともに汗を流す。

 (谷大平)

▼松尾良亮(まつお・りょうすけ) 1991年2月27日生まれ、名古屋市昭和区出身の30歳。現役時代は右投げ右打ちの内野手。小学3年の時に川原サンボーイズで野球を始めた。中京大中京高では3年春の甲子園で背番号14でベンチ入り。愛教大では主将を務めた。同大卒業後の2013年に同朋高に赴任し、翌14年から硬式野球部監督に就任した。

(2021年12月9日 中日スポーツ8面より)

戻る < 一覧に戻る > 次へ