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お知らせ 2019.08.21

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愛知工業大学名電高等学校

子ども向けのVR教材開発 不審者対処 リアルに 江南署と愛工大名電高

愛工大名電高生のサポートを受けながらVRのゴーグルを着用し、教材を体験する子ども=大口町の大口北小で

愛工大名電高生のサポートを受けながらVRのゴーグルを着用し、教材を体験する子ども=大口町の大口北小で

 子どもたちに不審者と遭遇した際の対応を映像で学んでもらおうと、江南署と愛工大名電高校(名古屋市)情報デザイン部の高校生が、VR(仮想現実)を使った教材を開発している。VR教材は高齢者向けの交通安全教室などでよく使われるが、署によると、防犯を目的にした教材は全国で初。署の担当者は「いざというときの対処法を学ぶ一助になれば」と話している。(鈴木里奈)

 教材は、生活安全課の署員らが昨夏、教材開発の検討を始め、同校情報デザイン部に映像の制作を依頼。専用ゴーグルを着用し、臨場感たっぷりのVR映像を体験する仕組み。着用する本人だけでなく、映像を同時にスクリーンに映すことで、周りの人も見て学ぶことができるよう工夫した。

 映像は、夕暮れ時の住宅街の通学路で、下校中の小学生が、物陰にいる不審者に気づき、その場で引き返して地域の「こども110番の家」に駆け込むまでのシーンを再現している。

 今月1日、制作途中の映像が公開され、大口町の大口北小学生11人でつくる防犯少年団が体験。署員から「不審者がいたら『助けて』と声を上げてみよう」と助言を受けたが、多くの子どもたちが「怖くて声が出なかった」と感想を口にした。5年の児童(11)は「先生や親から聞く話よりもリアル。これで練習すれば、いざというときに対応できます」と話した。

 体験会は、地域で防犯活動などに取り組む自治組織のメンバーも見学。「夕方はもっと暗いのでは」「大口町の街並みはもっと木が多い」などの意見が出た。高校生らは今後、教材の改良を加え、11月の完成を目指す。

 犯罪予防や安全研究に取り組み、今回の開発も監修している「ステップ総合研究所」(東京)の清永奈穂所長は「子どもたちは不審者に遭遇する可能性があるという知識はあるが、どう対応するかの練習はしていない。こうした仮想空間で疑似体験しておくことはとても重要」と強調した。

(2019年8月21日 中日新聞朝刊県内版より)
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