高校野球 2025.08.30
- この記事の関連校
- 中京高等学校
高校野球 軟式全国選手権 中京 史上初4連覇

あべの翔学-中京 9回裏中京2死満塁、サヨナラの内野安打を放ちヘッドスライディングする曽我(右)=明石トーカロ球場で
中京は1-2の9回2死一、二塁から稲垣の適時打で同点。さらに2死満塁で曽我が遊撃内野安打を放った。内野が3安打2失点で完投。あべの翔学は8回に勝ち越したが、若林が踏ん張れなかった。
■9回2死から逆転サヨナラ
史上初の4連覇の瞬間は、どこまでも泥くさかった。1-2の9回。中京は2死走者なしから追い付いた。なお満塁の好機。5番曽我の打球は高く弾み遊撃へ。一塁へ懸命に走り頭から滑り込むと、塁審が両手を広げた。劇的な逆転サヨナラ勝ち。笑顔と涙が入り交じったナインは感情を爆発させ、本塁上で歓喜の輪を作った。
「うまさより強さ。秋と春には見せられなかった執念、中京魂を見せることができた」。土壇場で同点打を放った主将で3番の稲垣は胸を張った。
稲垣が象徴として挙げたのは、自身の前を打つ2年生の働きだった。2死から1番垣内が左前打でつなぎ、打席には北川。3球で追い込まれたが、ここから驚異の粘りを発揮した。「自分が3年生の夏を終わらせたくない。ファウルを打ちにいった」。徹底的にカットしてフルカウントに持ち込み16球目。我慢比べに負けた相手の投球が高めに外れ、四球をもぎ取った。
非力で少しでも出塁の可能性を広げようと、1年前に左打者へと転向した2番打者。この日、自身だけで相手エースに47球を投げさせた。ただでは凡退しない姿勢が好機を広げ、勝利を呼び込んだ。
チームは昨秋から結果を残せず、4連覇を危ぶまれた時期があった。今の3年生と下級生の間で野球に対する意識の違いもあらわになった。だが、下級生の突き上げが、最上級生の自覚を芽生えさせ、一球に対するこだわりを生み、チームが変わるきっかけとなった。
決勝では下級生のミスで劣勢に立たされながら、曽我ら3年の活躍も要所で光った。「全国すら危ぶまれた世代。すごいやつらですよ」と平中監督。2年がつなぎ、3年が決める1年間の集大成。70回を数える大会に新たな1ページを刻んだ。(郷司駿成)
▽決勝
あべの翔学(大阪)010000010|2
中京(東海・岐阜)001000002|3
(あ)若林-稲住
(中)内野-中村駿
(2025年8月30日 中日新聞朝刊20面より)