お知らせ 2025.06.30
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名経大市邨高 パレスチナ問題特別授業 平和のとりで 心に築く

アハマドさん(左から3人目)が考案したパレスチナとイスラエルの関係性がわかるボードゲームをプレーする生徒ら=名古屋市千種区の名経大市邨高で
ニュースで見聞きしても国際問題を身近に感じられない-。生徒のそんな問いかけから、難民支援に取り組む名経大市邨高(名古屋市千種区)で26日に特別授業が開かれた。語り手はイスラエルの攻撃が続くパレスチナにルーツを持つ男性。生徒たちは戦火のやまないパレスチナに思いをはせ、平和の尊さを考えた。 (石田裕大、中川耕平)
登壇したのは、多摩美術大(東京)の博士課程で学ぶデザイナー、アハマド・サクファルハイトさん(48)。両親がパレスチナ人で、サウジアラビアで生まれ育った。パレスチナの歴史や文化をアートに落とし込み、平和教育に取り組んでいる。
市邨高ではカリキュラムの一環でゼミ活動を実施。今回はユネスコゼミと平和ゼミを中心に2~3年生約50人が参加した。生徒たちは普段から積極的に国際問題の情報を収集する一方で、どこか遠い世界の出来事に感じていたという。パレスチナの現状を知ってもらおうと、過去に現地を訪れ、アハマドさんと親交のあった松野至教諭(45)が呼びかけ、実現した。
「パレスチナの問題はパレスチナだけの問題ではない。世界の問題です」と説明するアハマドさん。民族衣装や伝統料理を紹介しながら、かつては人々が集まる豊かな場所だったが、1948年のイスラエル建国で多くのパレスチナ人が難民になり、故郷を追われたと説明。「きょうのことを友人たちにシェアしてほしい」と呼びかけた。
3年の生徒(17)は「パレスチナで入植が激しくなっていることをひとごとじゃないと思えた」と受け止め、別の生徒(18)は「戦後80年がたち、戦争の記憶が薄れている中で、もっと小さい子たちに記憶を伝えていきたい」と誓った。
パレスチナとイスラエルの関係性を学べるアハマドさん考案のボードゲームもプレーし、理解を深めた。
授業を見守った松野さんは願いを込める。
「広島や長崎で起きたことはもちろん、遠く離れた中東で起きていることについても考えてほしい。身近な問題と捉えることで、どのような人も同じ人間だと思い、心の中に平和のとりでを築くことにつながる」
(2025年6月30日 中日新聞朝刊市民版より)