お知らせ 2025.05.07
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中京商VS明石中 甲子園の熱戦 延長25回 92年前の夏再現

延長25回裏無死満塁の設定で、内野ゴロを本塁に送球する小学生(左から3人目)=名古屋市昭和区の中京大中京高で
■中京大中京高生、小学生ら体験 「プレッシャー感じた」
試合があったのは1933(昭和8)年夏の全国中等学校優勝野球大会の準決勝。中京商業が1-0で明石中学にサヨナラ勝ちした。4時間55分に及んだ試合は春、夏の大会を通じて高校野球で史上最長記録。
この時、失策で得点を許した明石中学の二塁手の嘉藤栄吉さんが失意の中から立ち直るまでの心情に焦点を当てた読み物が兵庫県の小学生用の道徳副読本に掲載されている。これを知った中京大中京高の学園史担当、渡辺真佐信(まさのぶ)さん(70)が「地域の小学生の学びにつながれば」と以前から交流のあった地元の滝川小に声をかけ、体験会が実現した。
この日は、投手や打者の役などを中京大中京高や明石高の選手が務め、小学生が二塁手や三塁走者を体験。「延長25回裏無死満塁」との設定で、内野ゴロを捕ると、捕手役に素早く送球した。中には緊張のあまり、嘉藤さんと同様に捕手からわずかにそれて送球してしまう参加者もいた。
体験した児童(11)は「急いで送球しなければとプレッシャーを感じた。今日の経験を糧にもっと頑張りたい」。別の児童(11)は「大事な場面でミスをしたら、自分なら悔しくて立ち直るのは大変だろう。日々努力していたという嘉藤さんの生き方を自分の生活に取り入れたい」と話した。
捕手役を務め、普段は投手として活躍する中京大中京高3年の生徒(17)は「緊張する場面では『自分や仲間を信じよう』と考えている。多くの人が見て緊張する中で、小学生たちはみんな、楽しみながらプレーできていた」とたたえた。
(2025年5月7日 中日新聞朝刊県内総合版より)