お知らせ 2025.04.15
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餅つきで 地域と子ども くっついた

餅つきに挑戦する子どもたち=春日井市八事町で
ボランティア活動に取り組む中部大春日丘高校(春日井市)のインターアクトクラブによる小中学生向け無料塾のNPO法人「みんなのひみつきち」は13日、同市八事町1の店舗を借りて初の餅つき大会を開いた。地元の3商店街でつくる鳥居松まちづくり委員会が全面的に協力。無料塾に通う児童や生徒は餅つき体験を楽しみながら、街や大人とのつながりを深めた。(牧真一郎)
■地元商店街や自治会が協力
無料塾は2021年に開講。部員が講師を務め、毎週日曜の午前中に市内のビルの一室で勉強を教えている。受講する子どもは、家庭の事情で民間の学習塾に通えなかったり、居心地の良さから選んだりと理由はさまざまだ。運営を円滑にしようと一昨年、高校生だけで運営する珍しいNPO法人が発足した。
部員らが今年1月、小牧市内で県警が開いた餅つきイベントに参加した際、「無料塾の子どもたちに体験してもらいたい」と思い付いた。クラブは、鳥居松地区の3商店街を会場に開かれる夏祭りに協力しており、その縁で交流を続けている同委員会に相談。無料塾の教室の近くにある鳥居松広小路商店街の金物店「ハヤシカナモノ」の店舗を借り、きねや臼などの器具は地元自治会が貸してくれることになった。
小中学生20人余りが餅つきを体験。8人の部員らに手伝ってもらいながら、慣れない手つきできねをついた。挑戦した中学2年の生徒(13)は「見ているよりも結構ハードだった。良い体験になった」と感想を話した。今回リーダーを務めた2年生の部員(16)は「餅つきには少し時期が遅いが、新年度でおめでたい、ということで」と笑顔を見せた。
子どもたちは部員と一緒につきたての餅を丸めた。あんこ、きな粉、みたらしの三つの味に仕上げ、全員でほおばった。
会場では商店街や地元の人たちも見守った。クラブ顧問の松本誠太さん(43)は「街の高齢化に新型コロナ禍が追い打ちをかけ、地域のつながりや文化の衰退は目に見えて進行している。子どもはもちろん、大人でも餅つきを知らないという世代は増えており、街づくりの一貫としてイベントを継続できれば」と思いを語った。
鳥居松まちづくり委員会の会長で文房具店を経営する市原和久さん(72)は「無料塾の子どもたちを巻き込んでイベントをやりたいという高校生のアイデアに乗った。これを機にさまざまな仕掛けを一緒にやりたい」と、期待の言葉を高校生に投げかけた。
(2025年4月15日 中日新聞朝刊近郊総合版より)