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高校野球 2021.07.27

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中京大学附属中京高等学校

コロナ禍で全国大会中止 高校女子軟式野球 中京大中京 悔いなき戦い

■東海大会で全力プレー

 第103回全国高校野球選手権愛知大会で、高校球児たちの熱戦が県内各地で繰り広げられている。一方で高校の女子軟式野球は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今夏に予定されていた全国大会の中止が決まった。準優勝の経験がある強豪の中京大中京(名古屋市昭和区)軟式野球部女子チームは、全国制覇を目指せない悔しさを胸に抱きながらも、東海地区予選リーグを戦い抜き、最終戦も全力プレーで勝って有終の美を飾った。 (大野雄一郎)

 6月上旬、中京大中京高校内の一室に集まった軟式野球部の女子部員たちは、土井和也監督から信じがたい言葉を聞かされた。「今年の全国大会は中止になった」。選手たちは涙をこらえ切れず、前田さん(17)は「監督は何を言っているんだろう」と頭の整理が付かなかった。

 高校女子軟式野球の世界では、全日本女子軟式野球連盟が主催する学生選手権大会が「最後の夏」の舞台。だが、昨年に続き、今年も新型コロナが立ちはだかった。

 それまで全国制覇を目指してきた3年生7人は急きょ、ミーティングをして「東海地区予選を全力でやり切ろう」と目標を改めた。副主将の紀(き)さん(18)は、同じクラスの硬式野球部の主力選手たちから「女子軟式の分も俺たちが絶対に優勝するから」などと声を掛けられ、「私たちも出られる限りの試合で悔いなく戦わないといけないな」と思い直した。

 さらに部員たちの士気を上げたできごとがあった。6月中旬にオンラインで開催された「プレゼン甲子園レディース」への参加だ。野球指導者らの交流グループ「野球まなびラボ」(埼玉)が主催し、全国の社会人や中学生のクラブなど9チームが練習内容などを披露。前田さんは「自分たちを客観視できる機会になり、試合では得られない経験ができた」と前向きに捉えた。

 そして迎えた11日。中京大中京ナインは、岐阜県揖斐川町の球場で地区予選の最終戦に臨んだ。試合は中京大中京が3-2でシーソーゲームに勝利。土井監督は「一度逆転された後もよく粘ってくれた」とたたえる。同点打を放った前田さんは「悔しい思いは消えないが、嘆いているだけでは成長できない。2年分の思いを乗せて、全員で野球を楽しむことができた」と振り返った。

(2021年7月27日 中日新聞朝刊県内総合版より)

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