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高校野球 スポーツ  2021.03.16

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啓明学館高等学校

私たちの夢 プレーボール 女子校 啓明学館高に硬式野球部

練習する啓明学館高女子硬式野球同好会のメンバー=愛知県あま市で

練習する啓明学館高女子硬式野球同好会のメンバー=愛知県あま市で

■同好会4人 新入生加入で大会出場可能に

 女子校の啓明学館高校(名古屋市西区)に昨年誕生した女子硬式野球同好会が4月、正式な硬式野球部として生まれ変わることになった。所属生徒は現在4人だが、4月に新入生が10人近く加わる予定で、女子野球の全国大会に出場できる部員数11人に達する。「野球が大好き。早く試合に出たい」と目を輝かせながら練習に励む選手たち。プロ野球の開幕を間近に控える中、彼女たちにも、待ちに待った球春が訪れようとしている。 (大野雄一郎)

 「ナイスボール、よし!」。愛知県あま市にある同校の専用グラウンド。よく晴れた2月下旬の休日、選手たちの掛け声が響き渡った。内野ノックでは、難しい打球にも必死で追いつき、エラーが出ても笑顔で励まし合う。2年の武藤さん(17)は「人数が少ない分、部員同士でたくさん話せるし、冗談も言い合える。練習が楽しいです」と話した。

 部の発足は、同校の教員でもある小坂知勢監督(24)の念願だ。自身も野球経験者で、中京大時代にはプロ野球中日ドラゴンズの打撃練習に捕手としてチームに同行。あらためて野球の面白さに触れた経験から、社会科の教諭として同校で教壇に立つようになり、「女子野球で学校を盛り上げられないか」と立ち上げに動いた。

 ソフトボールや少年野球の経験がある在学生らが集まり、昨年4月に同好会が発足。新型コロナウイルスの影響で5月末まで活動できなかったが、6月に本格的に練習が始まった。女子野球のクラブチーム「東海NEXUS(ネクサス)」(同県一宮市)とも定期的に合同練習し、指導を受ける。小坂監督は「プレーの成長はもちろん、野球を通して人とのつながりが生まれたことで選手たちは社交的になった」と振り返る。

 発足当初はアクシデントもあった。フライの捕球練習中、2年の牧野さん(17)の顔面にボールが当たり、鼻から出血。牧野さんは空手出身で野球の経験がなく、周囲は「野球をあきらめてしまうのでは」と心配したという。だが逆に「もっと上手になりたい」と発奮。今では塁間のキャッチボールもこなすまでに成長した。

 新入生が加わると、夏の大会に出場できるようになる。今年1月から主将に就任した1年の牧野さん(16)は「今はまだ人数が少ないけれど、選手同士で声を掛け合いながら、全国でも勝てる強いチームにしていきたい」と意気込んでいる。

 女子の高校野球 全国高校女子硬式野球連盟に加盟する36校でプレーされている。中部6県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀)では、至学館(名古屋市東区)、岐阜第一(岐阜県本巣市)、松本国際(長野県松本市)、福井工大福井(福井市)の4校に女子硬式野球部が存在する。男子の「夏の甲子園」に当たる全国高校選手権は1997年に始まり、大会が開かれる兵庫県丹波市は「高校女子硬式野球の聖地」とされている。

(2021年3月16日 中日新聞夕刊7面より)

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