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愛知黎明高 野球部・金城監督 「人づくり」貫き 最後の夏へ

練習を見守る金城監督=愛知黎明高野球グラウンドで
高校野球で沖縄に初の甲子園優勝旗をもらたし、現在は愛知黎明高校(弥富市)野球部で指揮を執る金城孝夫監督(72)が、今夏の大会を最後に退任する。「人間性を育てる」をモットーに指導し、これまで率いたチームを6度甲子園に出場させた名将。ただ愛知黎明での出場はなく「最後の夏に甲子園へ」と気持ちを高ぶらせる。(森健人)
金城監督は沖縄県出身。中京大を卒業後、縁あって愛知黎明の前身の弥富高校監督に就いた。
就任したてのころは「練習はうそをつかない」と徹底的に選手を追い込んだ。30歳ごろ、能力の高い選手が集まり「私学4強と勝負できる」と思えるチームができた。それが大会では実績のない公立校に「こてんと負けた」。一方、前評判のよくなかった代が8強に進んだこともあった。
「なぜ」と考えたときに思い浮かんだのがチームワークの違い。いくら能力の高い選手が集まっても「自己犠牲を払って仲間のためになれない集団は勝てない」と悟った。練習はうそをつかないが、練習だけでは手を抜く選手が出る。「人間力を育てることが勝つことへの近道にもなる」と、今の指導法につながった。
弥富を20年間率いた後、沖縄尚学へ。比嘉公也投手(現同校監督)らを擁して1999年にセンバツで優勝。この時の選手たちは「教えなくても自分で自分を追い込む選手ばかり」だった。人間性が磨かれた選手が集まるチームは、自然と結果がついてきた。
その後、長崎日大(長崎)では大瀬良大地投手(35)=現広島カープ=を育てた。2019年には弥富OBから「戻ってきてほしい」と声が上がり、校名の変わった愛知黎明で采配を振るうことになった。
愛知は170以上のチームがある激戦区。「甲子園に出られるのは一握り。野球をとったら何も残らない人はつくりたくない。まずは人づくりから。野球の原点は日常生活にあり」。遅刻しないことや協調性を大切にすることなど、プレー以外でも基本を怠らないよう教えてきた。
指導者生活50年を迎え、「一区切りつけるにはいい節目」と退任の理由を明かす。一方で「勇退」とする声には「結果を残せていない指導者なので、勇退ではなく退任」と語る。秋には小林亮輔部長(34)が監督に就任し、自身は総監督としてチームの成長を見守る。
愛知黎明としては弥富高校だった01年に甲子園に出場している。金城監督が指導の第一線から退く最後の夏に、2度目の出場を目指して、27日開幕の愛知大会に臨む。
■沖縄尚学と「師弟対決」 先月 練習試合
愛知黎明は5月下旬、同校グラウンドで、昨夏の甲子園優勝校である沖縄尚学と練習試合を行った。金城孝夫、比嘉公也の両監督による「師弟対決」は注目を集め、多くの関係者が見守った。試合は5-1で沖縄尚学に軍配が上がった。
試合後、握手を交わした両監督。金城監督が「退任ということでわざわざ沖縄から来てくれた。ありがたい」と述べると、比嘉監督は「金城監督の存在が原点。人生の基盤が高校の3年間」と感謝を伝えた。
(2026年6月19日 中日新聞朝刊県内総合版より)
