お知らせ 2025.03.27
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南山高・中 奇術部50年 慰問年30回、記念公演にOBら

喜多さん(右)とともにマジックを披露する生徒=昭和区の南山学園講堂で
■笑顔生むマジック 続けたい
箱の中に生徒が入り、小窓越しに笑顔で手を振った。窓が閉じると、スーツ姿の男性が箱に次々と剣を刺していった。OBと現役生が協力した記念公演の一幕。OB8人と部員らが物体浮遊やジャグリングなど手に汗握るショーを繰り広げ、箱に入れた煙をドーナツ状に撃ち出す空気砲でも会場を沸かせた。
部には中学1年~高校1年の現役だけで45人が在籍。部員たちは平日の4日間、ジャグリングやトランプを使うテーブルマジック、大道具を用いたイリュージョンなどを練習。昨年からは化学現象を応用したサイエンスマジックにも取り組んでいる。
休日は老人ホームなどを訪ね、マジックを披露。児童養護施設の子どもたちや母子生活支援施設のひとり親家庭の親子を学校に招くことも。県内各高校の文化部が加盟する県高校文化連盟では、ボランティア専門部に所属している。
高校1年の部長は「自分たちが趣味でやっていることで、見る人を笑顔にできる。やりがいがあって、楽しい」と部の魅力を話す。
創部のきっかけは1974年、当時高校1年だった喜多勇治さん(66)らが同好会を立ち上げたこと。部には翌年、昇格。記念公演にも出演した喜多さんは「これだけ長い間、部をつないでくれたことに感謝。ものすごくうれしい」と喜ぶ。慰問公演は創部当時から行っていたという。
50年の歴史の中では部員が数人となり、活動が停滞した時期もあった。転機は15年ほど前、学外でケアリングクラウン(病棟道化師)として活動する教諭の中谷豊実さん(63)が顧問に就任したこと。活動で築いた人脈を生かし、知り合いのプロマジシャンを講師に招いたり、部の慰問公演を増やしたりした。
最近では部がメディアに取り上げられる機会も出てきた。中谷さんは「奇術部に入るため、南山に入学してくれる生徒もいる。ジャグリングやサイエンスマジックなど引き出しも増えて盛り上がっているので、この勢いを続けたい」と意気込む。
(2025年3月27日 中日新聞朝刊市民総合版より)