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高校野球 2023.10.30

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秋季東海高校野球決勝 豊川速攻 愛工大名電振り切る

豊川-愛工大名電 1回表豊川無死満塁、先制の左前適時打を放つ中村選手。捕手板倉選手=長良川球場で

豊川-愛工大名電 1回表豊川無死満塁、先制の左前適時打を放つ中村選手。捕手板倉選手=長良川球場で

 29日に長良川球場(岐阜市)で行われた第76回秋季東海地区高校野球大会の決勝は2004年以来、19年ぶりの県勢対決となった。中盤までに8点を挙げた豊川(愛知2位)が、終盤に1点差まで追い上げた愛工大名電(同1位)を振り切り、初優勝を果たした。豊川は、11月15日から始まる明治神宮大会に出場する。

 豊川が試合前半の大量得点を守り切った。1回、2四球と相手の失策でうまれた無死満塁の好機に、中村が適時打を放って先制。後続も押し出し四球などで続き、6点を挙げた。4回にも2点を入れた。

 投げては鈴木爽が打たせて取る投球で6回2失点と好投。9回に1点差に迫られ、さらに2死満塁のピンチを迎えるも、この場面で継投した平野が試合を締めた。

 愛工大名電は6回以降に7得点。9回には長短3連続安打や四球などで猛追したが、あと一歩及ばなかった。

■「つなぎの4番」 先制打で勢い 豊川・中村選手 3安打3盗塁

 ミート力にたける4番中村選手(2年)が、この日も「つなぎの4番」に徹した。開始早々、無死満塁の好機を迎え、外角の直球を逆らわずに打つと、左前の先制適時打に。続く打者も落ち着いてボールを見て押し出し四球を選ぶなど、初回に6点を挙げた。「チームを勢いづけることができた」と中村選手は振り返った。

 長打力が求められる打順を任されているが、高校通算本塁打はゼロ。打撃練習でも打球が柵越えすることはない。「持ち味は脚。とにかく次の塁を狙っている」と話すように、4回2死三塁で迎えた打席では一塁にヘッドスライディングし適時内野安打。盗塁はこの試合だけで3つ決めた。

 サッカーをしていた小学1年の時、必ず打順が回ってくる野球に面白さを感じ、本格的に始めた。「誰でもヒーローになるチャンスがある」と話し、この日も3安打を放って活躍した。

 県大会決勝で完敗した愛工大名電を相手に雪辱を果たし、11月の明治神宮大会へ。来春の選抜大会出場も現実味を帯びている。甲子園でのプレーを思い描きながら「小中学校の時から憧れていた場所。大事なところで1本打てるようにしたい」と話す。大舞台でもつなぎの4番として結果を出す。 (加藤壮一郎)

■最大8点差の窮地 諦めずに仲間鼓舞 愛工大名電・山口主将

 「絶対にやってこい」。最大8点差から1点差まで追い上げた9回2死満塁。愛工大名電の山口主将(2年)は、打席の板野選手(同)に気合を入れた。だが、結果は中飛。試合が終わった。

 序盤の大量失点にも諦めず、仲間を鼓舞してきた。三塁手としても奮闘。相手の攻撃でプロ注目の強打の3番打者を迎えると、自ら左翼の位置に入り外野を4人で守った。三遊間の打球に飛び付いてピンチも防いだ。打撃でも最終回に適時二塁打を放った。

 9回の最後の打者には、相手が右投手に変わったため、倉野光生監督が1年の左打者の代打起用を考えていた。「上級生の力を信じてほしい」と監督に直談判し、板野選手を送り出した。「板野は練習試合でも大事な場面で決めていた。僕の責任」と仲間をかばった。

 父・和豊さん(45)は岡山城東で1996年の選抜大会で4強入り。東海大会での優勝は逃したものの、決勝に進出したことで親子2代での甲子園出場に期待は高まる。「一からチームをつくり直して頑張っていく」と力強く言った。 (伊勢村優樹)

▽決勝
豊川 600200000|8
愛工大名電 000002023|7
(豊)鈴木爽、中西、本田、平野-高橋
(愛)古谷、礒田、伊東、大泉-板倉、板野

(2023年10月30日 中日新聞朝刊県内総合版より)

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