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お知らせ 2025.12.04

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鈴鹿中等教育学校

愛情込めたネコギギ 強く生きて 鈴鹿高生ら成魚や稚魚 放流

ネコギギの繁殖や研究を行う鈴鹿高校自然科学部と鈴鹿中等教育学校科学部の部員たち=亀山市で

ネコギギの繁殖や研究を行う鈴鹿高校自然科学部と鈴鹿中等教育学校科学部の部員たち=亀山市で

■絶滅危惧種 国天然記念物の淡水魚

 絶滅危惧種で国の天然記念物に指定されている淡水魚「ネコギギ」の研究や繁殖に取り組む高校生らが、亀山市内の鈴鹿川水系の河川に成魚9匹と学校でふ化して育ててきた稚魚569匹を放流した。生徒たちは愛情込めて育ててきたネコギギたちとの別れを惜しみながら、稚魚たちの成長を願った。(西村理紗)

 ネコギギは、ネコのようなヒゲが特徴のナマズの仲間。東海地域の伊勢湾と三河湾に流入する河川で生息が確認されている。

 ネコギギの研究をしているのは、いずれも鈴鹿市の鈴鹿高校自然科学部と鈴鹿中等教育学校科学部の生徒たち。2004年から研究に取り組んでおり、分布調査や繁殖のデータ収集などを行い、研究成果を発表したり、普及啓発活動に取り組んだりしている。17年には両校を運営する学校法人鈴鹿享栄学園と亀山市が「ネコギギ生息域外保全事業に係る飼育協定」を締結。ネコギギは自由に捕獲できないが、専門家の指導と文化庁からの許可を受けて、捕獲と放流を行っている。

 今回の放流は11月15日に実施。6月に捕獲した体長10~11センチの成魚と、7月末に生まれた体長4センチ程度の稚魚たちを、複数箇所に分けて川へ放った。

 夜行性のネコギギが違和感なく川の中にすみかを移せるよう、17人の両校生徒たちは昼過ぎから入念に準備。水槽の水ごとネコギギを入れたビニール袋を川につけて、ネコギギたちが過ごす水と川の温度を合わせた後、水槽と川の水を混ぜて川の水に慣れさせ、日が沈んでからネコギギを見送った。

 ネコギギに関わりたくて部活に入ったという鈴鹿中等教育学校5年の副部長は「世話をするのは、もちろん部活に入ってから初めて。8本のヒゲがあって、つぶらな瞳がかわいい」と魅力を語った。鈴鹿高2年の部長は「ネコギギを育てるには水をきれいに保って、酸素がきちんと行き届いているか確認したりと、細かいところまで気にかけないといけない。大切に育ててきたので別れはさみしいが、自然の中でも強く生きてほしい」と願いを込めた。

(2025年12月4日 中日新聞朝刊三重総合版より)
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