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スポーツ 2025.03.15

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滝中学校

愛知屈指の進学校 8割初心者 楽しむ滝中野球 全国へ

創部以来初となる全国大会に出場する滝中学校野球部員

創部以来初となる全国大会に出場する滝中学校野球部員

 愛知県屈指の私学進学校、滝中学校(江南市)の野球部が今月、創部初となる全国大会に出場する。女子2人を含む部員24人の8割が入学後に野球を始めた初心者だが、効率のよい練習でレベルをアップ。県大会では名だたるクラブチームを破り、中学軟式の「春のセンバツ」とも称される「文部科学大臣杯第16回全日本少年春季軟式野球大会ENEOSトーナメント」(春季大会)への切符をつかんだ。 (近藤晶、写真も)

■22日初戦 自ら考え効率的に練習

 クラブチームが強い愛知で、中学校の部活動チームが同大会に出場するのは初めて。副顧問の宮城智彦教諭(30)は「短い時間を有効に使う練習が全国出場に結び付いた」と要因を説明する。教職員の働き方改革の影響で生徒は午後5時半までに下校しないといけないため、練習時間は火、金曜が1時間35分、7時限まである月、水曜は35分しかない。

 顧問の藤本翔大教諭(36)は「効率を求め、キャッチボールから実戦を意識している」と話す。ただ投げるのではなく、ゴロにしてみたり、挟殺プレーをしたり。ゴロをわざとグラブに当て、捕球し損ねた想定で投げる「ゴロポロ」は、試合でエラーをしても慌てないためという。

 待ち時間を減らそうと、内野ノックは一、二塁間と三遊間の2カ所同時に3人ずつ。捕球後は二塁に置いたネットに送球する。その間、他の部員は外野フライの捕球やトスバッティングなどに励み、動いていない部員はいない。

 部員それぞれが自身の課題を考え、顧問らに練習方法などの助言を受ける。真剣だが、笑顔も絶えない。「野球を楽しむのが滝中野球」と左翼手の2年の生徒(14)。チームの姿勢は、2023年夏の甲子園で107年ぶりに全国制覇した慶応高が掲げる「エンジョイ・ベールボール」と重なる。

 1、2年生の現チームは強豪クラブチームがひしめく昨秋の県大会を勝ち進み、準決勝で名古屋市の「サンリッツ」にサヨナラ勝ちした。決勝は敗れたが、登録チーム数が400以上ある都道府県は全国大会に2チームが出場でき、全国切符を手にした。

 春季大会は、四つある中学軟式の主要な全国大会の一つ。歴代の優勝校には、米大リーグ・元ヤンキースの松井秀喜さんの母校・星稜(石川県)や高知、明徳義塾(高知県)といった甲子園常連校の付属中野球部が名を連ねる。中日ドラゴンズの木下拓哉捕手は高知中野球部出身だ。

 春季大会は21日に岡山県で開幕し、滝中は22日の初戦で広島県代表のクラブチームと対戦する。主将の2年の生徒(14)は「チーム全員仲がよく、試合中もコミュニケーションが取れる。自分たちの力を発揮して、一つでも二つでも勝ち上がることができたら」と力を込める。

■滝中野球部

 中学は1947年に滝実業学校(現滝学園)に併設され、中高一貫の進学校として知られる。中学野球部の記録は残っていないが、開設から間もない時代に創部されたとされる。

(2025年3月15日 中日新聞夕刊1面より)

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