車で移動販売をするキッチンカー２台を学校に招いて、子どもたちに食事をしてもらう催しが１９日、岐阜市の岐阜東中学校・高校であった。新型コロナウイルスの影響で学校行事の中止が相次ぐ中、思い出づくりにと同校が企画。子どもたちにとって忘れられない味になった。　（向川原悠吾）

　１週間おきに開かれる土曜の午前授業。昼時、空腹を誘う香りが校舎内を包んだ。用意された食事は豚丼や鴨（かも）ロース丼のほか、定番のポテトに削りイチゴ、タピオカの５種類。キッチンカーの周りは待ちわびた生徒たちで、あっという間に大行列ができた。

　新型コロナの影響で、昨年は社会科見学や文化祭などのイベントが軒並み中止に。今年は開催予定となっているが、多くは縮小する。イベントが減る中、子どもたちに少しでも多くの思い出をつくってもらおうと開いた。

　初めての取り組みは、生徒たちに大好評。事前に販売したチケットは計約４４０食分が売れ、ほとんどの生徒が購入した。

　ポテトと鴨ロース丼を買った高１の男子生徒（１５）はカナダへの修学旅行が中止になった。「こういうご時世で楽しみが増えてくれるのはいいこと」と語った。中２の女子生徒（１３）は「ちょっとしたイベントで学校が楽しくなると思う」と喜んでいた。

　イベントは、新型コロナで業績が悪化する飲食店を応援する意味も込めて催した。豚丼を販売した榊原一輝さん（３９）は「大変助かるお誘いだった」と感謝していた。

（2021年6月20日　中日新聞朝刊岐阜近郊版より）