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受験道 by 河合塾
解答導く前にちょっと考えて ■井上真さん
河合塾現代文科講師

2014年の東京大の入試で、こんな問題が出ています。
<「ひとまとまりの『私』というある種の錯覚」とはどういうことか、説明せよ。>
みなさんはどう取り組みますか? 「~という錯覚。」と答えたくなる人、多いです。でも、肝心なのは「錯覚」の中身なんです。では、そもそも「錯覚」とはどういうことでしょう? ちょっと考えてみてください。
簡単に言えば「錯覚」とは「本当は○○なのに、××と思い込んでしまうこと」ですよね。「××」に当たるのが「ひとまとまりの『私』」です。もちろん言い換えて説明します。ですが、「○○」についても説明しなければ、「錯覚」の説明にはなりません。そこで、「○○」の内容も、本文から探してくる必要があるのです。
言われれば「ああ」という感じですね。でも、ちょっと考えれば自分でもわかる感じがありませんか? この「ちょっと考える」ということがとても大切です。
次は、つい先日授業で扱った問題です。ちょっと考えてみてください。
<「それはどこまでも『自己』批判であり」とはどういうことか(中略)わかりやすく説明せよ。>
「それ」の内容も大事ですが、肝心なのは「『自己』批判」です。「『自己』批判」とは「自分で自分のありようをよくないと思い、指摘すること」ですよね。すると、(1)「批判」されるべき「自己」のありようと、(2)それが「自己」自身にとってどうよくないのか、この2点は解答に盛り込まなくてはならないことが見えてくるはずです。
最後は本年度の共通テストです。
<「観光地住民の『戦略』は常に綱渡りである」とあるが、それはどういうことか。>
ちょっと考えてから、問題文や選択肢を見てみましょう。問題への取り組みがちょっと違ってくるはずです。
(2025年10月10日)
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