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受験道 by 河合塾

何を問うているか 慌てず理解を ■井上真さん

河合塾現代文科講師

イラスト

 「傍線部C『ことはそれほど単純でもない』とあるが、それはなぜか。」(第1問・問4)

 2025年度の共通テストの国語で、このような設問がありました。苦戦した受験生もいたようです。皆さんならどう取り組みますか?

 まず、「ことは」。これは「事態は」というほどの意味でしばしば使われます。おそらく何らかの「事態」が起こっているのでしょう。次に「それほど」。「それ」は指示語ですから、傍線部の前に指示内容があるはずです。その指示内容をXとします。最後に「単純ではない」。これは裏返せば「複雑だ」ということになりますね。

 すると、この傍線部は「何らかの事態が起こっているが、その事態は、Xよりも複雑な事態なのだ」と言っていることになります(1)。すると気になりませんか? 「こと=事態」とは一体どんな「こと=事態」なのか? 「それ=X」とは? 前者の方が「単純ではない=複雑だ」ってどうしてだろう?(2)

 解答の糸口はもう見えています。本文の中に「こと=事態」や「それ=X」の内容を探し(3)、実際に比較をして、「確かに『それ=X』よりも『こと=事態』の方が○○な点で『単純ではない=複雑だ』なあ」と実感してみてください(4)。ここまで行けば、答えはすんなりと出ます。実は、(3)までやっておけば、この設問は解けてしまいます。

 設問は何を問うているのかを理解することが大切です。でも、ここを端折ってしまう人がたくさんいます。ですから、この記事を読んだあなたは、「受験道」を一歩リードできています。着実に前進していきましょう!

(2025年6月13日)

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