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難関大避ける「安全志向」 19年度の分析 河合塾報告会

 今年行われた2019年度入試は、難関大を避けて手堅く合格を狙う「安全志向」が見られたという分析結果を、大手予備校の河合塾が6月に開いた報告会で発表した。センター試験は来年で終わり、再来年から大学入学共通テストに切り替わる。浪人して新方式の共通テストを受けるのを避けようと、来年は安全志向がさらに強まるとみられる。(諏訪慧)

昨年度までの「狭き門」影響 中堅大に集中

高校の進路担当教諭らが聞いた河合塾の報告会=名古屋市千種区で
高校の進路担当教諭らが聞いた河合塾の報告会=名古屋市千種区で

 安全志向は私立大で目立った。志願者数は前年と比べ首都圏で偏差値上位の早稲田が5%、慶応が3%、上智が10%減った。続く明治は7%、青山学院は4%、法政は6%、立教は4%減で、受験倍率も緩くなった。

 一方、駒沢が9%、専修が23%増えるなど難関大に次ぐ中堅大で志願者が増え、競争が厳しくなる傾向が見られた。

 安全志向を招いたのは受験生の不安感だ。私立大は、都市部の大規模校への学生の集中に歯止めをかけようとする文部科学省に、16年度から定員を大幅に超えて学生を入学させないよう求められ、合格者数を絞り込んできた。その結果、17、18年度は狭き門となった。

 多くの私立大は合格者の絞り込みを昨年までに完了。今年も合格者数は昨年並みの見通しだったが、河合塾教育情報部の岩瀬香織チーフは「厳しかった先輩の状況を見聞きし不安になったのでしょう」と分析する。

 弱気な心理は難関国立大の受験生にも及んだようだ。毎年、センター試験後に、より上位の大学から志願変更する受験生が出る名古屋・法学部。河合塾の調べでは、東京、京都、一橋、大阪から今年志願変更したのは14人で昨年より4人増え、このうち11人が合格。合格者が10人のうち3人だった昨年と比べ、確実に合格を狙う受験生が増えたとみられる。

表

 愛知県内の私立大受験は首都圏よりも“超”安全志向が表れた。偏差値が上位の南山、中京、愛知、名城に次ぐ難易度の大学で、志願者増が著しかった=表。合格者数を増やした大学でも成績上位層が流入したため難易度は下がらなかったという。中でも名古屋学院は上位校との併願者が増え、厳しい争いになった。

 首都圏の上位私立大は、来年の入試に向けて5月にあった模擬試験でも志望者減が目立ち、いっそう競争が緩和されそうだ。岩瀬チーフは「受験しないと後から後悔するかもしれない。安易に避けず、挑戦してほしい」と呼び掛ける。

共通テスト活用 私大3割未定

 文科省によると、共通テストを活用するかどうかを決めていない私立大は30%に上る。方針の見えない大学が多く、高校生の不安を高める可能性がある。

 文科省は民間企業に委託して1~3月、共通テストの活用状況などを尋ねるアンケートを実施。全大学1068校のうち、964校から回答を得て5月末に公表した。共通テストを活用すると答えた国立大が98%なのに対し、私立大は65%。文科省によると、センター試験は全国公立大、9割の私立大が活用している。

 共通テストに導入される英語の民間検定試験は90%の国立大が出願資格などに用いるが、私立大で利用するのは39%。56%が未定としている。

 文科省は、入試の大きな変更は実施の2年ほど前に予告するよう各大学に通知していた。共通テストの実施まで2年を切り、未公表の大学に活用の有無や方法を明らかにするよう求めている。一方、アンケートには自由記述もあり、「共通テスト実施までの期間が短く、十分な議論が難しい」などと苦慮する様子を記す大学もあった。

(2019年7月7日)

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