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TOEIC 共通テスト不参加

 英語検定試験「TOEIC」を運営する国際ビジネスコミュニケーション協会は2日、大学入試センター試験の後継となる大学入学共通テストへのTOEICの参加を取り下げると発表した。同協会は「実施運営などの処理が当初想定していたよりかなり複雑なものと判明した。責任を持って対応を進めることが困難と判断した」と説明している。

運営複雑、対応困難

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 文部科学省が全国の高校に昨年実施したアンケートでは、2020年度に3年生として共通テストの英語民間検定試験を受ける見通しの生徒のうち、TOEICの受験が想定されていたのは約2%。大学のほか、受験生を抱える高校や予備校などに影響があるとみられるが、文科省の担当者は「限定的だ」と強調した。取り下げを受け、共通テストに関する運用指針を一部修正する。

 柴山昌彦文科相は閣議後の記者会見で「受験生が不利益を被ることがないよう、大学入試センターと協力し高校や大学に周知したい。TOEIC受験を目指した人は、残念だと思う」と述べた上で、取り下げはやむを得ないとの考えを示した。

 20年度から始まる共通テストの英語には民間検定試験が導入される予定で、TOEICや英検など計8種類が参加要件を満たし、同協会を含む運営計7団体が20年4月からの実施に向けて準備していた。

 今年11月には受験生を識別するIDの申し込みが始まる予定。

 TOEICは「読む・聞く・書く・話す」の4技能のうち、「聞く・読む」の力を測る「TOEIC L&R」と「話す・書く」を測る「TOEIC S&W」からなり、それぞれ別の日程で申し込み受け付けや試験日を設けている。

 共通テストでは双方の成績提供が求められ、同協会の担当者は「センターから両試験の実施日を近くするよう要請を受けたが、対応が難しかった」と述べた。

民間任せ 不安な英語試験 制度設計の脆弱さ露呈

 英語の民間検定試験「TOEIC」が、大学入学共通テストへの参加を取り下げた。「読む・聞く・書く・話す」の4技能を測る検定試験の導入は、実生活で使える英語力を目指す共通テストの目玉だが、民間団体に実施を委ねる制度設計の弱みが露呈した形だ。検定試験の開始は2020年4月。残された時間は長くなく、学校現場からは不安の声が上がる。

懸念

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 「TOEICを受けるのは、留学志向があるなど一握りの生徒だけ」。東海地方の高校の50代男性教員は、取り下げの影響は限定的との見方だ。

 検定試験が共通テストに参加するには、学習指導要領に準拠していることや、4技能を測ることができるといった要件を満たす必要がある。

 TOEICも要件を満たしているが、元々ビジネス向けの性格が強く、学校側からは共通テストへの参加を疑問視する声があり、文部科学省のアンケートでも、TOEICの受験予定者はわずかだった。

 ただ、本番が近づく中での事態に批判は強い。この教員は「共通テストで一番懸念されているのが検定試験を使う英語だ。今後も大混乱が起きるのではないか」と不安を口にし、ある教育委員会の担当者も「高校生にとって非常に大きな問題。もっと早く詰めておけなかったのか」と憤る。

本音

 TOEICを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会は「責任を持って対応を進めることが困難」と取り下げの理由を説明した。

 大学入試センター試験の後継の共通テストは、全国で50万人超が受験する見込みだ。文科省や大学入試センターは、家庭の経済状況や居住地域などで検定試験を受ける機会が左右されないよう、実施会場の確保や検定料への配慮などを実施団体に迫っていた。

 協会も対応を進めていたが、運営や成績提供に関する事務処理が、想定よりも複雑だと判断したようだ。

 文科省は、他に参加予定の7種類の検定試験に取り下げの動きはないとしているが、内情は厳しく、関係者は「実施団体側からすれば、準備が大変な割に利益も上がらない」と指摘。共通テスト参加予定の別の検定試験関係者からも「国が責任を持ってやってきたことを民間が全部できるわけではない」「利益も出ず、社会貢献のようなものだ」との本音が漏れる。

丸投げ

英語の民間検定試験の当面の利用中止を求めて記者会見する東大の阿部公彦教授(中央)ら=6月18日、国会で
英語の民間検定試験の当面の利用中止を求めて記者会見する東大の阿部公彦教授(中央)ら=6月18日、国会で

 「異なる複数の検定試験結果を比較することはできない」「トラブルや不正に対し、実施団体が適切に対応できるのか」

 6月18日、複数の大学教授らが国会内で記者会見を開き、検定試験導入の問題点を主張。当面の利用中止を訴えた。こうした懸念は根強く、利用見送りを決めた国立大があるなど、大学側の対応も分かれている。

 会見に参加した東大の阿部公彦(まさひこ)教授(英米文学)は「検定試験側も業界内のシェアを奪われないよう仕方なく参加した面がある。TOEICは採算が合わないからやめるのだろう」と分析。

 その上で「最低限、公的に実施しなければならないものがあり、大学入試はその一つだ。民間に責任を丸投げするという制度設計自体がおかしく、今回の動きで、いかに制度が脆弱(ぜいじゃく)かはっきりした」と見直しを求めた。

(2019年7月3日)

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