中部の大学関連ニュース

「自分の目で見て考えて」 大震災などテーマ 金城学院大生、保見中で授業

生徒たちに自分で考えることの重要性を訴えるゼミ長の金本さん(右端)ら=豊田市の保見中で
生徒たちに自分で考えることの重要性を訴えるゼミ長の金本さん(右端)ら=豊田市の保見中で

 豊田市の保見中学校で大学生と連携した特別授業が実現した。金城学院大(名古屋市守山区)の学生3人を招き、東日本大震災の復興問題などをテーマに講義をしてもらった。中学3年生たちは年齢がさほど違わない「先輩」の話に耳を傾けながら、物事を考えることの大切さを学んだ。(中川翔太)

 2日にあった授業には3年生65人が臨んだ。教壇に立ったのは、同大国際情報学部でマス・メディアのあり方を研究している磯野正典(まさふみ)教授(62)のゼミ生たち。ゼミ生が中学校で授業を行うのは初めてだった。

 学生は冒頭、東日本大震災の被災地で津波や原発事故による被害を見てきたり、沖縄の米軍基地問題について基地前で座り込む市民らの声を聞き取ってきたりしたこれまでのゼミ活動を説明。福島第一原発から漏れた放射性物質の影響で現在も故郷に帰れない被災者がおり、避難指示が解除された地区でも人けがないことなどを伝えた。

 その上で、現地に足を運び、自分の目で確認し、現状について自身で考えることの大切さを強調。復興が遅れている現状や春日井市の市民団体「雨にも負けずプロジェクト」が毎年、福島から子どもたちを受け入れていることなどを紹介するビデオを放映した。

 生徒からは「福島の子どもたちを受け入れるボランティアは重要なので続けてほしい」「被災は大変だなと思うだけで、自分は何をしていいのか分からないから行動できるのはすごい」との声が上がった。

 授業の後、ゼミ長の4年金本唯さん(22)は「授業が考えることのきっかけにつながれば意義のあることだと思う。皆で議論してもらいたい」と特別授業の狙いを口にした。生徒(14)は「東日本大震災の被害のことを忘れずに生きていきたい。地震や原発について興味を持って考えたい」と話した。

 特別授業のきっかけは、今年の「成人の日」の1月8日付の本紙社説だった。卒業を控えた金城学院大の学生が、それまでの授業で学んだことを後輩に伝える「先輩授業」で原発問題などを取り上げたことを紹介。新成人に考えること、伝えることの大切さを訴えた。保見中の教諭(46)が記事を読んで興味を持ち、磯野教授にゼミ生による授業を打診し、実現した。

 2日の特別授業に立ち会った磯野教授は「学生たちは自信を持って伝えられたと思う。生徒たちは真剣に興味を持って話を聞いてくれてうれしい」と振り返った。6日にも保見中で同様の授業が行われる。

■社説の要旨

 金城学院大のゼミ生が映像番組を卒業制作した。「故郷(いばしょ)をもとめて〜原発事故から7年、女子大生が視(み)た福島」のタイトルが付き、学生が東日本大震災の被災地を訪ねた記録である。映像では、原発に賛成か、反対か、有益か、有害かに一つの答えを出すには、立場や肩書、土地への思いが複雑に交差する今、時間がまだまだかかるとする。後輩に講義する「先輩授業」で教壇に立った学生は、簡単に結論が出せないことでも考えることはできるとし、未来に思いを巡らせることの重要性を訴える。

(2018年7月4日 中日新聞朝刊豊田版より)

■関連大学はこちら
金城学院大学

[2018.07.04]

一覧を見る