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定年退職の椙山女学園大・加藤教授 「カタカナより日本語を」

1993年に出版された「驚異の若者コトバ事典」(手前左)。加藤教授の研究や占いは、雑誌やテレビでも紹介された
1993年に出版された「驚異の若者コトバ事典」(手前左)。加藤教授の研究や占いは、雑誌やテレビでも紹介された

 現代の若者言葉や使われなくなった言葉・死語を研究し、「ケーチュー(携帯電話中毒)」などの言葉を世に広めた椙山女学園大人間関係学部(日進市)の加藤主税(ちから)教授(70)=言語学、瀬戸市出身=が本年度で定年退職する。19日に大学で開かれる最終講義を前に、長年の研究を振り返り、現在の日本語について語ってもらった。(森若奈)


−若者言葉を研究するきっかけは

 大阪大在学中に、手相研究会を立ち上げて街頭でも占いをやっていました。1987(昭和62)年にこの大学に教授として赴任した時に、学内に「易学研究会」をつくりました。そこに集まった学生の言葉を聞いて、珍しい言葉があるなと気付いたのが最初です。


−当時の若者言葉とは

 名古屋限定の若者言葉では、尾張小牧ナンバーを表す「おこま」や、名古屋の女子大である椙山女学園、愛知淑徳(現在は共学)、金城学院を表す「SSK」。脳がとろとろになったようで、何も考えられない状態を「脳みそウニ状態」と言っていました。93年に若者言葉を冊子にまとめたところ反響があり、出版しました。大学でまとめたものを含めると、「死語」関係は6冊、若者言葉関係も6冊になります。

−若者言葉を研究して、分かったことは

 こうした若者言葉がはやったのは、家に電話が1台しかなかった時代。家の電話で友人と会話をするときに、親世代に分からない暗号のような言葉を使うようになったからと推測します。今の若者言葉はネット由来が多い。ネット上で「w」は「笑」の意味ですが、wが草の形に似ているから「くさ」とか。学生が「りょ」と言うから、何かと思ったら「了解」の意味なんです。

−死語についても長年研究している

 若者言葉を集めるうち、廃れてきた言葉にも興味を持ちました。日本語が外来語に負けちゃってるんですよ。デモクラシーを「民主主義」と訳した国で、砂糖を「シュガー」と言ったり、鍵を「キー」と言ったりする。ただ、平成2桁台生まれの今の大学1年生は、グラスよりも「コップ」、ジーンズよりも「ジーパン」を使う。上の世代と断絶がなく、影響を受けている様子がわかります。

 若者言葉や死語は、社会の様子を映します。今、興味があるのは、カタカナ言葉の浸食。行政も「シルバー(高齢者の意味)」「クリーン」といった言葉を使う。企業もそう。「メイク・イット・ポッシブル」と言われても、何のことか分からない人は多いはず。私は英語学が専門ですが、日本語で表現できる言葉があるのだから、日本語を使ってほしいと思います。

(2017年1月17日 中日新聞朝刊なごや東版より)

[2017.01.17]

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