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有松絞 最新技術で“進化” 大同大生、新たな道具開発

開発した木板を右手に持ち作品を紹介する山中さん=緑区有松で
開発した木板を右手に持ち作品を紹介する山中さん=緑区有松で

 緑区有松地区で江戸時代から続く「有松絞」を作る新しい道具を、大同大(南区)情報デザイン学科4年の山中嘉太朗さん(21)=同区=が産地の協力を得て開発した。3Dのコンピューター利用設計システム(CAD)や切削機を使い、職人技を再現した。(小椋由紀子)

 大学とつながりのある有松の絞り産地を見学した山中さんは、その奥深さに触れ、自身の技術を生かせないかと久野染工場(緑区境松)に相談。たたんだ布を三角形などの木板で挟んで染め、連続した柄を出す比較的、簡単な「板締め絞り」に目を付け、「板自体に柄を彫れば、凝った模様を簡単に染めることができるのでは」と昨年夏から実験を重ねた。

 コンピューターでただ柄を彫った板では、色がうまく入らなかった。そこで、機械で板の各部にかかる圧力を測り、柄に段差をつけて彫ることで解決。柄の種類や染め時間も試行錯誤し、ストールを試作した。

 美しいグラデーションの細かな柄が出る「片野絞り」に似た新たな模様が生まれた。久野染工場の久野浩彬専務(32)によると、片野絞りは独特のにじみで昔から人気があるが、技術的に難しく、作り手が減っている。模様を出すために縫った針穴が残り、ファッション生地としてはB級品になるのも課題だった。今回の手法は縫う手間や技術が不要で、生産性も高いという。

 山中さんは「有松は京都など他の産地に比べて、多くの道具を駆使して模様や技術を多様化してきた。複雑な作業がいらない便利な道具として使ってもらえれば」と話す。久野さんは「ものづくり愛知らしい。今までにない柄、新しい絞りに期待したい」と語る。

 山中さんは卒業後も、後輩が引き継ぐこの研究を手助けし、模様の種類や板の耐久性を改善するなどして実用化を目指す。

(2017年1月7日 中日新聞朝刊市民版より)

[2017.01.07]

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