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被災者に節目はない 椙山女学園大生 石巻の姿 撮り続ける

リチャード・ハルバーシュタットさん(左)にインタビューする牧山恭女さん(左から2人目)=宮城県石巻市で
リチャード・ハルバーシュタットさん(左)にインタビューする牧山恭女さん(左から2人目)=宮城県石巻市で

 名古屋市千種区の椙山女学園大の学生たちが、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の映像記録の制作に取り組んでいる。この5年間で、1本5〜6分の短編作品35本を完成させた。震災5年を前にした今月中旬にも、学生4人が現地を取材。「節目だけ伝えればいいのか」「それでも伝えることが大事」。葛藤を抱きながらも、目の前の現実に向き合う。(戸川祐馬)

 「5年間で心境の変化はありますか」

 津波で浸水した石巻市中心部に昨年3月、開設された「復興まちづくり情報交流館中央館」。3年生の牧山恭女(たかこ)さん(21)=愛知県日進市=が、館長で英国人のリチャード・ハルバーシュタットさん(50)にマイクを向けた。

 「心境の変化はあまりないです。ただ、震災のことが忘れられないように努力しないと、という気持ちは強くなりました」。流ちょうな日本語で答える様子を、同行した学生らが真剣なまなざしでビデオカメラ2台に収めていった。

 学生たちのこうした活動のきっかけは、仙台市出身で2007年まで地元テレビ局記者として30年間勤務し、石巻市にも2年間赴任した栃窪優二教授(61)の「映像で被災地の現状を伝えるとともに、記録にも残したい」との思いから。震災から3年目までは栃窪教授が4〜5回、石巻で取材し、ゼミの学生たちがナレーションや音声編集などを担当。14年からは、希望した学生も現地取材をしている。

 今回は、3日間の日程でハルバーシュタットさんら4人をインタビュー。「震災5年」について尋ねる中で分かったのは、「被災者に節目は関係ない」ということだ。「節目しか伝えないのは問題。石巻の人たちは毎日一生懸命生きているんだから、継続して全国に発信することが大事」と牧山さん。一方で、3年生の田中佑佳さん(21)=岐阜県大垣市=は「いつ発信すればいいのか正直分からない。3月11日がそのタイミングなら、そこをしっかりやりたい」と話した。

 現地では警察による行方不明者の捜索や、被災した小学校なども撮影。4月から、新たな短編作品4本の編集作業に入り、5月の完成を目指す。牧山さんは「今回聞いたことをきちんと形にして伝えてこそ、協力してくれた人の期待に応えることになる」と話す。

 作品は、インターネットの栃窪研究室のサイト(「椙山 栃窪研究室」で検索)で公開している。

(2016年2月24日 中日新聞夕刊11面より)

[2016.02.24]

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