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岐大、宇宙創生の謎に一歩 中性子星に「グザイ」存在

 岐阜大の仲沢和馬教授(実験物理学)と日本原子力研究開発機構(茨城県)などのグループは、恒星の最終形態である中性子星に含まれていると推定されている素粒子「グザイ」の性質を解明した。中性子星にグザイが存在することをほぼ確定する成果で、宇宙創生の秘密に迫る大きな一歩として注目される。

 結果は、日本物理学会などがインターネットで発表する学術論文誌に近く掲載される。

 中性子星は、寿命が尽きた恒星が爆発した後に残る星。大きさは太陽の100万分の1程度だが、質量は約2倍と極めて密度が高い。このため、素粒子のうち陽子や中性子より重い「ラムダ」「シグマ」「グザイ」のいずれかが存在すると考えられた。

 仲沢教授は2001年、通常は陽子と中性子でできている原子核に、ラムダを結合した超原子核を作製。陽子、中性子とラムダが結び付くことが分かり、中性子星に存在する可能性が高まった。シグマは原子核と反発する関係と判明し、残るグザイの性質を解き明かすことが、中性子星を知る最後の鍵と位置付けられていた。グザイは、中性子星より低密度の地球では100億分の1秒で崩壊してしまうため、地球上に存在しないとみられる。このため、仲沢教授らは高エネルギー加速器研究機構(茨城県)で、K中間子という粒子の放射線をダイヤモンドに照射することで、人工的にグザイ粒子を生成。特殊な写真乾板に当てて顕微鏡で撮影した。約800万枚の画像を分析した結果、窒素の原子核にグザイが吸収された超原子核を発見した。

 超原子核内の引力を測定すると、原子核とグザイが互いの電磁力の30倍の強さで引き合っていた。グザイが陽子、中性子と互いに強く結び付き、高密度な中性子星にも存在することがほぼ確実になった。

 仲沢教授は岐阜県を流れる川から、ラムダの超原子核反応を「長良イベント」と名付けており、今回のグザイの反応は「木曽イベント」と名付けた。仲沢教授は「さらに多くの原子核とグザイとの関係を解明し、宇宙の謎の解明を進めたい」と話している。

■天文学に大きな功績 理化学研究所仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)の肥山詠美子准主任研究員(43)の話
 
 画期的な発見。グザイ核の生成自体が極めて難しく、世界の目指すところだったが、その性質まで明らかになった。中性子星の内部の構造解明と天文学の進歩につながる功績だ。

(2015年1月19日 中日新聞朝刊3面より)

[2015.01.19]

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