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有松の駄菓子屋 看板娘は舞妓さん 1月デビュー 「京さん」こと下村萌香さん

今年初めに舞妓としてデビューした下村さん=名古屋市緑区有松で
今年初めに舞妓としてデビューした下村さん=名古屋市緑区有松で

■中学で興味、夢かなう「大学で学べぬ勉強できる」

 古い町並みが残る名古屋市緑区有松にある駄菓子屋の看板娘は、名古屋に2人しかいない舞妓(まいこ)の1人だ。今年1月に花柳界デビューした「京(けい)さん」こと下村萌香(もえか)さん(20)。芸の稽古やお座敷の合間に、家族が営む駄菓子屋の店番に立つこともある。(木下大資)

 「割れしのぶ」と呼ばれる髪形は若手の舞妓の証し。自分で1時間かけて施す白塗りの化粧には苦労するが、「最近は絶好調です」と幼さの残る顔で笑う。

 所属する名妓連(めいぎれん)組合(同市中区)には現在、16人の芸妓(げいこ)と2人の舞妓がいる。市内外の料亭に赴き、踊りや長唄で酒宴に興を添えるのが仕事だ。

 下村さんは中学生の時、英国への短期留学の帰りの機内で歌舞伎の映像を見て、「日本にはこんなすてきな文化があるんだ」と魅了された。興味は欧米文化から日本文化に移るようになり、舞妓の存在を知った。「京都で舞妓さんになりたい」と母の香代さん(46)に訴えたが、そのときは却下された。

 昨年、愛知淑徳大に入学。その年の10月、御園座に歌舞伎を見に行った際、居合わせた名妓連の女性たちを目にして「あきらめきれない」という気持ちが頭をもたげた。「舞妓になりたいんです」。その場で声を掛けた女性は、名妓連の元組合長だった。

 香代さんも応援する気になり、翌月から早速、舞妓の見習いに。名古屋には住み込みで芸事を修業する置き屋がなく、舞踊や三味線、茶道などさまざまな稽古に自宅から通う。2年間は大学を休学して専念する。

 芸名の「京」は、世界一の計算速度で話題になったスーパーコンピューターにちなむ。「世界に通用する日本の伝統文化を伝えられるように」と付けてもらった。

 大学ではビジネスを専攻するが、舞妓の仕事は経済界の人と接する機会も多い。「大学では学べない勉強もできる。この1年、毎日が楽しくてあっという間だった」と振り返る。

 駄菓子屋「きょうか」は今年4月に開店。常連の子どもたちから「まいこさん」と親しまれる。「駄菓子屋ができて町に子どもの姿が増えた。有松が子どもたちにも身近になって、古い町並みを一緒に守って行けたら」。地元への愛着ものぞかせた。

 17日午前11時から、有松の旧東海道沿いの棚橋邸と竹田邸の前で撮影会がある。

(2013年11月15日 中日新聞朝刊市民版より)

[2013.11.15]

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