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障害に合わせ リメーク服 裾にファスナー ボタンはマグネット式 愛知淑徳大生が考案 おしゃれも追求

リメークが完成したジーンズを確認する唐田宏樹さん(左)ら「ユニこまPlus+」のメンバーたち=愛知県長久手市で
リメークが完成したジーンズを確認する唐田宏樹さん(左)ら「ユニこまPlus+」のメンバーたち=愛知県長久手市で

 体に障害があっても、おしゃれな服が着たい−。そんな思いを形にしようと、愛知淑徳大福祉貢献学部(愛知県長久手市)の学生グループが、既製品をリメークして障害者に合わせた服作りを進めている。衣料品店やリフォーム専門店の力を借り、待望のリメーク品が完成した。(花井康子)

 「これでようやく、皆と同じ服を着て、おしゃれを楽しめる」。プロジェクトを立ち上げた学生団体「ユニこまPlus+」代表で、先天性の脳性まひがある2年の唐田宏樹さん(20)=愛知県瀬戸市=は、長年の夢が一つかなったことに感慨深げだ。

 唐田さんは左半身のまひが強く、排せつは自分でできるが、ボタンを留めるなどの細かい手先の作業は苦手。幼少の頃から車いすで生活しており、服装は周囲が介助しやすいようにとジャージーのズボンがほとんどだった。障害がある友達の多くもジャージー姿で、中学生のころから「健常者と同じように、おしゃれがしたい」と願ってきた。

 障害者向けの洋服を取り扱う店舗や通販サイトもあるが、需要が少なく、特別な加工が必要などの理由で高額になりがち。品数も少なく、総じてデザインが地味だと感じた。

 大学入学後、友達にそんな気持ちをこぼしたところ、6人が唐田さんの服作りに協力してくれることになり、ユニこまを設立。まずは、障害がある生徒や保護者の思いを探ろうと、唐田さんの母校、瀬戸特別支援学校でアンケートを実施。49人の回答では「足に装具を着けているため、普通のズボンがはけない」「使いやすさを追求するとダサくなる」などの声が目立った。

 唐田さんと同じ思いの人が多いことに意を強くし、大学の助成や学生のボランティア活動を支援する学内の「コミュニティ・コラボレーションセンター」の支援を受け、まずは唐田さんの服作りを本格化させた。

 リメークしたのは、名古屋市千種区の「ユニクロ星が丘テラス店」で購入した柔らかな素材のジーンズ。同店から紹介されたリフォーム専門店にも相談し、裾から膝の下にかけてファスナーを付け、ウエストのボタンを片手でも開け閉めできるようマグネット式にした。

 ファスナーを開けると、車いすに座ったままでも脚が動かしやすくなる。ズボンの縫い目に沿って裁断してファスナーを取り付けたり、通常のボタンの下にマグネットを付けたりして、作り直したとは分からない仕上がり。

 メンバーで2年の前田和泉さん(20)は「これまでは障害のある人との関わりが薄かったが、どんなことに不便を感じているのか分かった」と話した。

 唐田さんの服作りをきっかけに、メンバーたちは障害者がおしゃれで着やすい服を手頃な価格で手に入れる方策も探っている。しかし、障害によって加工する箇所や仕方は異なり、業者が本人と相談する必要もある。量産化は難しく、作業に時間もかかり、コストダウンは難しいのが実情だ。

 今回は、唐田さんの体形や体の動きを考慮する必要があった。ジーンズを販売した「ユニクロ星が丘テラス店」店長の堀江晃希さん(26)は「障害の有無にかかわらず、全ての人に喜んでもらいたい」と協力したが、機材や人員の都合などを考慮し、同店でのリメークは見合わせ、近くの洋服直しの専門店「ママのリフォーム」につないだ。

 専門店であれば、費用を考慮しながら素材やデザインなど細かな部分まで希望を取り入れることもできる。同店の女性スタッフ(48)は「着る人に合わせて直すことはできる。ためらわずに、まずは希望を伝えて」と話す。

 唐田さんは「思いをようやく形にできた。自分の着たい服をもっと手軽に着られるようになれば、障害者がより外に出るきっかけになる」と力を込めた。

(2019年3月7日 中日新聞朝刊29面より)


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[2019.03.07]

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