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1型糖尿病の重症患者 膵島移植 年内にも 藤田医科大

 藤田医科大(豊明市)は、重症の1型糖尿病患者を対象にした膵島(すいとう)移植を、年内にも実施する方向で準備を進めている。膵島はインスリンを分泌する細胞の塊で、移植した膵島が働くと血糖値が安定し、意識障害など低血糖による発作がなくなる。東海地方では現在、この移植を受けられる施設がなく、重症患者の生活の質の改善に役立つと期待されている。

 1型糖尿病は生活習慣病の2型と異なり、血糖値を下げるインスリンが膵臓から分泌されなくなり発症する。注射でインスリンを補うが、血糖値が不安定だとインスリンが効き過ぎて低血糖を起こすことがある。冷や汗や動悸(どうき)など自律神経の症状から始まり、繰り返すと昏睡(こんすい)状態に陥ることもある。

 膵島は、インスリンを分泌する「β細胞」を含む細胞の塊で、膵臓内に100万個ほどが散らばっている。1型糖尿病の患者は膵島が破壊され消失してしまう。膵島移植では、脳死や心停止した人から提供された膵臓から膵島を取り出し、点滴で患者の肝臓内の血管に注入する。血管内に膵島が付着して活動を始めると、高血糖に反応してインスリンが分泌される。

 移植の対象は、専門医が治療しても低血糖を繰り返すような重症の患者。臓器提供は件数が少ないため、重症患者に限っているが、将来的には国内に10万〜40万人いるとされる1型糖尿病患者が広く対象となる可能性もある。

 1回の処置でインスリン注射が不要になるとは限らないが、開腹して膵臓そのものを移植する手術と比べると体の負担が少ない。ただ、現在は1回約500万円と費用が高額だ。

 国内では2004年に始まり、12年からは保険適用に向け、効果や安全性を調べる臨床試験が京都大病院(京都市)など6施設で行われている。試験に参加する形で移植を受ければ、患者の費用負担は相当に軽くなるものの、現在は東海地方の患者は京大病院などに行く必要があり、事前の検査入院もあって負担が重かった。

 藤田医大は、4月に開設予定の国際再生医療センター(仮称)に備える細胞製造設備を活用し、早ければ秋にも移植を行えるよう態勢を整える。中心となる移植・再生医学の剣持敬教授(61)は「膵島が機能する成績も上がってきている。保険適用に向けて国への働き掛けを続けたい」と話している。

 1歳で1型糖尿病と診断された県内の女性(51)は「膵島移植のことはよく知らなかったが、保険適用されるならぜひ受けたい」と話す。女性は、診断後すぐにインスリン注射を始めたが、小学生のころから低血糖発作を起こすようになり、何度も病院に運ばれた。

 低血糖を知らせるアラームが付いた治療器を使用しているが、頻繁に鳴るため「周囲に迷惑を掛けている」と、10年続けた仕事も辞めた。今後希望すれば膵島移植の対象となる可能性は高く、「低血糖発作がなくなれば、家族にも心配をかけずに済む」と期待している。 (小中寿美)

(2019年1月11日 中日新聞朝刊県内総合版より)

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[2019.01.11]

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