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お知らせ  2019.06.18

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音楽+朗読 絵本ケア実践本 文教女子短大准教授ら 普及協会員が出版

絵本ケアについてまとめた初の書籍を紹介する真下さん=稲沢市の愛知文教女子短大で

絵本ケアについてまとめた初の書籍を紹介する真下さん=稲沢市の愛知文教女子短大で

 音楽に乗せて絵本を朗読し、物語を深く聞き手の心に届ける「絵本ケア」の普及に取り組む「日本絵本ケア協会」のメンバーが、初の書籍「音楽と語りで夢を育む絵本ケア」を出版した。代表で、愛知文教女子短大(稲沢市)准教授の真下あさみさん(56)=一宮市萩原町=は「生きる力や心のゆとりを取り戻す方法の一つとして、絵本ケアを知ってもらえたら」と話している。(高本容平)

 執筆したのは真下さんのほか、ピアニストや幼児教育の大学講師、図書館司書ら計7人。絵本ケアの概要や実践法を記し、お薦めの絵本や絵本に合った楽曲の選び方も解説。子どもの発育過程や演奏のこつも紹介している。真下さんは「お母さんやお年寄りにも分かりやすくまとめた。絵本ケアは本と音楽の相乗効果でより感動が伝わりやすくなる」と効果を語る。

 絵本ケアの原点は35年ほど前。真下さんが短大を卒業して間もなく、雑誌の呼び掛けで集まった仲間と、都内で絵本コンサートを開いた。新美南吉の「ごんぎつね」を題材に、大きな布に描いた絵を見せながらピアノやギターの演奏に合わせて物語を朗読。真下さんは「情景がリアルに伝わり、子どものころの純粋な気持ちに帰れた」と感激し、聴衆にも好評だった。ユニークな試みは当時、新聞でも話題になったが、真下さんは結婚や子育てで多忙となり、長らくコンサートを開く機会はなかった。

 転機は6年前。大学勤務の傍ら、子育てで疲れた母親の心をリラックスさせたいと、一宮市内の保育士らと子育て支援団体「夢育(ゆめいく)ひろば」を結成した。当時を思い出し、ピアノ演奏に合わせて子育ての喜びをテーマにした絵本を読み聞かせたところ、「ほっとした」「心が癒やされた」と涙を流す人もいた。

 より多くの人に絵本ケアを知ってもらい、担い手を育てようと、昨年6月に協会を設立。現在は市内外で月2回ほど、母子をはじめ保育士や社会人、高齢者を対象にコンサートを開いている。「絵本と音楽の組み合わせは無限。どんな楽器を使ってもいいし、音楽CDに合わせて読み語ってもいい」と真下さん。「この本が絵本ケアの世界を知る入り口になれば」と願う。

 A5判152ページで、1620円(税込み)。全国の書店やインターネット通販大手「アマゾン」などで購入できる。

(2019年6月18日 中日新聞朝刊尾張版より)

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