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お知らせ  2019.05.19

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茶臼山のパワー感じた? 椙山女学園大・山根教授が調査 体験者に聞き取り

岩に測定器をかざし、地磁気の強さを調べる山根教授=愛知、長野県境の茶臼山高原で(熊谷所長提供)

岩に測定器をかざし、地磁気の強さを調べる山根教授=愛知、長野県境の茶臼山高原で(熊谷所長提供)

 愛知、長野両県にまたがる茶臼山高原で「パワースポット」の調査に取り組んでいる椙山女学園大人間関係学部の山根一郎教授(62)が、パワーを体感したという人たちを対象に皮膚のピリピリ感や平衡感覚の乱れなど、感覚変化を調べる活動を始めた。メカニズム解明に意欲を燃やしている。 (鈴木泰彦)

 茶臼山高原のパワースポットが話題に上り始めたのは2010年の夏のこと。県境から300メートルほど長野県に入った茶臼山高原両生類研究所・カエル館(根羽村)が発端となった。来館者が「研究所近くの岩に手をかざしたら、ビリビリした」と熊谷聖秀(まさひで)所長(69)に告げた。

 熊谷所長は測定器で一帯を調査し、7カ所で地磁気が極めて高いことが分かった。研究所の建物内部では、方位磁石が北を指さず地磁気がゼロに近づいたり、平均値の倍にはね上がったりする奇妙なポイントも見つかった。

 山根教授はこうした現象に興味を抱き、12年6月から頻繁に茶臼山高原を訪れ、カエル館内の異常磁場の原因は雨戸に張ったトタンの磁化であることを突き止めた。17年6月には、異常磁場を感じた来訪者の皮膚の温度変化をサーモグラフィーで確認した。

 今回の調査対象は、館内の異常磁場で体に変化を覚えた来場者。受付に用紙を置き、異常磁場での体感の部位や様子を記入してもらう。100人分集め、統計としてまとめる予定だ。

 地元の根羽村は17年秋からパワースポットのPRを始め、体感が顕著な9カ所に看板を設置。マップ1万5000部をつくり道の駅などで配布した。熊谷館長は「高原の新たな観光資源に育ってくれれば」と期待を寄せる。

 山根教授によれば、全国のパワースポットの中で、茶臼山高原は体感の頻度がずばぬけて高いといい、「なぜ茶臼山で高いのか、今後の研究でメカニズムを明らかにしていきたい」と話す。

■茶臼山高原の磁気

 山根教授は現地調査で、鉄製の展望台や木道の古くぎ、看板の鉄柱などが強い磁気を帯びていることを確認。高原の標高1200メートルから上の部分は玄武岩でできており、岩に含まれる鉄分が地磁気に作用している可能性があるという。磁気がもたらすとされる体感は「ピリピリ感」「風に吹かれた感触」「体が温かくなる」などさまざま。もちろん、全く感じない人もいる。

(2019年5月19日 中日新聞朝刊愛知総合版より)

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