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お知らせ  2019.10.29

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社会批評誌で地域貢献 名造形大・山本学長ら創刊

「都市美」を手にする山本学長=小牧市大草の名古屋造形大で

「都市美」を手にする山本学長=小牧市大草の名古屋造形大で

 名古屋造形大が美術系大学としては珍しい社会批評誌「都市美」(A5判、216ページ)を創刊した。年2回の刊行で、埼玉県立大(芸術院賞)や公立はこだて未来大(日本建築学会賞)など、多くの公共建築を手掛けてきた建築家の山本理顕(りけん)学長(74)が責任編集を務める。

 創刊特集は「コミュニティ権 新しい希望」。山本学長は論稿で「国家権力に対応できる唯一の権力」として「コミュニティ権」を提唱。歴史社会学者の小熊英二・慶応大教授との対談では、コミュニティーをつくる上で「周辺環境を意識した空間の設計」が、非常に重要な役割を果たしていると指摘している。

 また「大学建築論」の項目では、2022年に名古屋市の名城公園東に開校する新キャンパスについて、山本学長が設計の狙いなどを解説。地域社会の人々の生活の中心にしたいという思いから、1階に商店が集まった「アートスペース」を、さまざまなコースの学生が互いに批評し合えるよう、4階に間仕切りのない「スタジオ」を設けたことを紹介している。

 山本学長は創刊理由について「大学が名古屋の都心部に移転することで、今後はさまざまな文化活動の中心役を担うことになる。美術大学には、単なる学生の自己探求の場所にとどまらず、地域社会への貢献が求められている。そうした中で、美術とは何か、芸術とは何かを、地域の人たちにきちんと訴える必要があると考えた」と説明。

 さらに「もともと文化を創ってきたのは地域社会だが、現在はグローバリズムの大きな力に埋もれつつある。どうすれば地域の人たちの生活が豊かになるか、その方策を積極的に発信していきたい」と訴えた。「都市美」は1650円(税込み)で、ネット通販などで購入できる。(井上喜博)

(2019年10月29日 中日新聞朝刊近郊版より)

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