みんなで考える大学特集 2018年度 入試の展望と対策 中部の私大・短大28校アンケート

思考力、判断力問う 新しい入試へ改革進む
思考力、判断力、表現力求める 多面的評価の傾向が鮮明に
学校法人 河合塾 教育コンテンツ本部 教育情報部 部長 富沢弘和さん

学校法人 河合塾 教育コンテンツ本部
教育情報部 部長 富沢弘和さん

 2017年度の入試を振り返ると、英・数・国・理・地公といった主要科目の出題内容は、前年度と比べて目立った傾向の変化はありませんでした。しかし、今後は「高大接続改革」の流れを受け、入試のあり方自体が大きく変動します。それに伴い出題傾向も変化がみられるかもしれません。
 2017年5月に文部科学省が発表した大学入試改革の検討状況によると、センター試験に代わる「大学入学共通テスト(仮称)」において国語や数学で記述式問題を導入することが示されました。また最大の注目点は、英語において「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価するため、英検やTOEICなど民間検定試験から認定したものを活用する点です。新しい共通テストは2020年度に導入予定ですが、知識重視から思考力や判断力、表現力に重きを置く方向性が示されています。また、大学の個別試験も同様で、多面的・総合的に評価する入試への転換が改革の狙いです。

 一連の指針に沿う形で、すでに新しい入試方式を取り入れている大学も増えています。推薦入試やAO入試の枠を広げる、一般入試でプレゼンや集団討論の試験を実施するなど、多面的な評価を行う傾向がより鮮明になっています。
 今後、多様化する試験では、これまでの経験や行動を通じて身に付けた能力が問われる場面が増えるでしょう。受験生はこれまで以上に主体性を持って行動することを、常日頃から心掛けることが求められます。
 ただし学習面においては、試験制度の改革自体をあまり強く意識しすぎないこと。難しく考えすぎると、何をどのように学べば良いかと迷いが生じる可能性もあるので、引き続き、高校の授業内容をしっかりと抑えることに重点を置いて勉強に取り組むことが肝要です。

「文高理低」傾向は継続 私立大の競争率高まる

 志願動向に目を向けると、2017年度は18歳人口が増える最後の年であり、志願者数が微増。競争率が上がり、厳しい入試でした。また「文高理低」という大きな流れが継続しています。2015年度入試から現行課程への移行がスタートしたことに伴い、特にセンター試験における数学と理科の負担感が広がりました。そのため、理系が敬遠され、文系へ人気がシフトしました。科目の負担を回避する傾向と同時に景気の回復兆候が重なったことで、国公立大学から私立大学へという動きも目立っています。2017年5月に行われた第1回全統マーク模試の志望動向から考察すると、この傾向は2018年度も続くと予想されます(図参照)。
 中部地方では、例年通り地元志向が顕著です。要因としては、中部地方の大学で学べる分野が多様化することにより、選択肢が拡大していること。また、地元企業への就職の優位性が挙げられます。加えて、愛知県の主要大学では、都心回帰を含む大学の再整備が進み、人気が上昇しています。岐阜県や三重県など近隣地域からの利便性も高まり、より広範囲から学生が集まっています。

グラフ
細分化する学部・学科編成 大学展やガイダンスを活用

 近年は学部の新設や改組を積極的に行う大学が増えています。かつては文学部、法学部、経済学部、理学部、工学部など学部ごとに学ぶ分野、範囲が区切られていましたが、昨今は同じ名称の学部や学科でも、大学によって学べる内容が異なるケースも少なくありません。
 目まぐるしく変化する社会の動きに連動し、今の時代に求められる学問を学び、必要とされる人材を育むために、各大学がカリキュラムを工夫しています。オープンキャンパスや大学展などにも積極的に足を運び、自分が興味を持っている分野についてどの大学で学べるのかを、個別にしっかり確認する必要があるでしょう。
 特に、新設される学部や名称を変更する学科、コースなどは、スタートに際して大学側もひと際力を入れている場合が大半。関心のある大学、学部の新しい動きを知ることも、志望校選びの検討材料の一つとなります。

夏休みまでには実力を把握 志望先、受験科目の決定を
多くの受験生や保護者が訪れ、熱気に包まれた「2018中部の私立大学・短期大学 大学展」

多くの受験生や保護者が訪れ、熱気に包まれた「2018中部の私立大学・短期大学 大学展」

 2018年度の入試は、センター試験の日程が史上最も早い1月13日、14日に予定されています。年が明けたらすぐにセンター試験というイメージです。センター試験の出願が9月から始まることを考慮すると、夏休みの時点では自分の実力を把握し、志望校を想定した上で、受験科目をおおむね決めておくことが必要です。志望校や学部選びが遅れれば、秋以降、勉強に集中しなくてはいけない時期に情報収集や準備に追われてしまうという状況に陥ります。
 また、高校1年生、2年生にとっては、オープンキャンパスや大学相談会などで見聞を広めるのに最適な時期。高校と大学の学びの違いを肌で感じることで、学習に対するモチベーションを高め、自分自身の可能性を広げることができます。
 もちろん受験を乗り切るためには、本人のみならず家族、保護者の意識も鍵を握ります。ポイントとしては、まずサポートに徹すること。食事や快適な寝具を整えるなど体調管理の面で協力をしてください。またテレビの音量を小さくするなど細やかな配慮により、勉強しやすい環境を提供することも大切です。2点目は、入試に関する最低限の知識を得ること。押し付けや強制は逆効果になる可能性もありますが、大学展や高校の進路相談などを活用し、入試の仕組みや出願時期、志望校の入試制度など、子供が相談に来た時に対応できる程度の知識を持っておきましょう。

合格者数の絞り込みにより 人気校はますます狭き門に

 2018年度は、18歳人口が減少に転じる最初の入試にあたります。ただし、主要な私立大学を中心に、合格者数を減らす動きが強まり、人気の高い大学ほど競争率が激化しているのも事実です。背景にあるのは、文部科学省の施策。定員管理を厳格化する中で、私立大学への補助金を不交付とする規定が、年々厳しくなっているのです。2017年度に引き続き、2018年度はますます狭き門となる大学、学部が増えると予想されます。
 一方で、焦りは禁物です。入試制度が複雑化する中で、推薦入試やAO入試などにより、早々に合格を決める友人の姿を目の当たりにすると、不安になることもあるでしょう。しかし、決して妥協はしないでください。最後まで諦めず、粘り強く勉強を続けることが、合格への近道となるのです。

<企画・制作> 中日新聞広告局 <協力> 学校法人 河合塾