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英語民間試験 東大、名大など見送り 国立大 ふぞろいの始動

 2020年度から始まる「大学入学共通テスト」で導入される英語の民間検定試験の扱いについて、国立大の足並みがそろわない。本番に向けた取り組みが進む中、公平性の課題などを理由として有力大に成績の活用を見送る動きが続出。大学関係者からは、民間試験活用を求めた国立大学協会の方針との整合性を問う声が上がる。

地域格差や受験料 課題残す

英語を民間検定試験を必須としない一部大学の対応

 「遠隔地の人は民間試験を何回も受けられない。トラブル発生時にどうするかの課題も残る」。今年9月の東大の記者会見。福田裕穂(ひろお)副学長は、入試で民間試験の成績提出を必須としないとの初年度の基本方針を公表し、その理由も説明した。

 東大は3月時点で民間試験を合否判定に使わない方向性を示したが、4月末には一転して活用の方向で検討すると発表。やり方が異なる複数の試験の成績を正確に比較可能かどうかは専門家の間でも意見が割れるだけに、学内からも懸念が噴出し、かじを切り直した。

 東大は一定の英語力を出願要件とし、その証明に、民間試験の成績だけでなく、高校による英語力の証明書でも認めるとした。ある関係者は「結局、民間試験の成績はなくても良いということだ」と解説するが、国大協が昨年11月にまとめた基本方針は、民間試験を全受験生に課すとした。

 続いて名古屋大が今年11月、京大は12月にそれぞれ東大の基本方針と同様の考えを示した。さらに東北大は少なくとも20年度は民間試験の成績を合否判定に使わないと明言した。

 「読む・聞く・書く・話す」の英語四技能をまんべんなく測れる民間試験導入は、グローバル時代に対応した人材育成を志向する大学入試改革の目玉の一つ。そうした政策方針と一線を画するような有力大の動きについて、大手予備校河合塾の富沢弘和教育情報部長は「地域格差や受験料などの課題が解消されないまま導入が決まったことへの不満とともに、個別試験で各大学が求める力は測れているとの自信があるのだろう」とみる。

 一方、民間試験の成績に応じて加点する方式を採用する福島大の中井勝己学長は「国大協の方針に従う。大学がきちんと軸足を決めて受験生を不安にさせないようにしたい」と強調する。

 別の国立大の学長は「東大や京大だけを受ける受験生が果たしてどれだけいるのか。結局、大半が民間試験を受けざるをえないはずだ」と一部有力大の方針に疑問を呈した。

 民間試験を実施する業者は入試対策に向けたサービスの提供を既に開始。共通テストに認定された「GTEC」(ジーテック)を運営するベネッセは1回で数十万人が受験すると見据え、スピーキング試験で使うタブレット端末の準備を急ぐ。

 実際に受験生を抱える高校側も走り始めている。首都圏の進学校に勤める英語教諭によると、民間試験を学年全体で受けることになっているとし「民間試験の結果が不要とする大学の個別方針はさほど受験生の動きには影響しないだろう」と推測した。

(2018年12月26日 夕刊)