大学の新聞 未来を担う人材育成に取り組む大学

 年々上昇傾向にある大学卒業予定者の就職率。しかし社会の変化とともに企業のニーズも複雑化し、学生の“質”が問われる時代に突入しています。このような状況で希望の就職を実現するためにはどのような学びが必要か、また大学4年間で身につけるべき力について文部科学省高等教育局学生・留学生課長の井上諭一さんにお話を伺いました。

多様性や専門性を身につけ 能力の質を高める大学教育 インタビュー:文部科学省 高等教育局 学生・留学生課長 井上諭一氏 自分自身を成長させるためのキャリア教育
文部科学省 高等教育局 学生・留学生課長 井上諭一氏

―今年の就職活動状況から読み取れる、企業の傾向やニーズについて教えてください。

 昨年に引き続き、今年も企業の採用意欲は高い傾向にあります。特にインターネットやITを活用したビジネスモデルの変化や、震災復興、東京オリンピック開催の関係もあり、流通業界や建設業界は積極的に採用を行っています。また、女子学生の就職率は上昇を続けており、直近5年は男子学生の就職率を上回っています。社会における女性の活躍の場がますます広がっているように感じられます。

―学生の就職に対する姿勢はいかがでしょうか。希望する就職は実現できていますか。

 将来を考えていち早く企業研究を進めたり、インターンシップに参加して職業観を高める学生と、本格的な就職活動が始まってから企業研究を始める学生と二極化しているように思われます。

 今は昔と違い、大学などの高等教育機関への進学率は80%に達しています。つまり今の大学は、社会に出るための人間力や社会人基礎力を身につける場なのです。そのために、近年どの大学も早い時期からキャリア教育に力を入れています。学生は売り手市場だからといって誰もが希望の就職を叶えられるとは限りません。きちんと将来に向けて意識を高め、インターンシップや企業研究、留学などを積極的に行うことは、結果として希望の就職を実現することにつながります。大学4年間の多様な学びはすべてキャリア教育につながります。こうしたことを意識し、将来を見据えて職業観を身につけていくことが大切です。

―最近のインターンシップの傾向、また留学で得られる学びや力について教えてください。

 大学と企業が連携して企画するインターンシップは、とても充実しています。例えばある大学では長期型のインターンシップで企業の仕組みをさらに深く知るプログラムや、一定期間中に複数の企業でインターンシップを行うプログラムを作成することで、学生にとって満足度の高いものとなっています。また東海地方では地域の、大学、経済団体、自治体が協議会を設け、中小企業を含む様々な企業でのインターンシップをコーディネートする取組もあります。こうした場は絶好の学びの機会となりますので、積極的に活用してほしいと思います。

 また、留学もぜひチャレンジしてほしいことのひとつです。経済団体の調査によれば、企業が学生を採用する際に重視する点として、多かった回答は「コミュニケーション能力」「主体性」「協調性」「チャレンジ精神」です。留学をすることで、これらの力がすべて強まります。社会構造や産業構造などの変化が激しい現代を生き抜くためには多様性を理解する力が必要です。留学先ではさまざまな文化や価値観に出会い、その中で相手を受け入れ、自分の考えを伝える力が養われます。それは自分自身を成長させることにもつながることでしょう。

 文部科学省では「官民共同海外留学支援制度〜トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム〜」で留学を希望する学生をサポートしています。大学でも気軽に留学が体験できる短期留学制度を取り入れるところが増えていますので、ぜひ自分の目で世界を見てきてください。

―昨今は「働き方改革」の議論が進んでいますが、学生が企業研究を進める際のポイントはありますか?

 本来、企業研究は「その企業でどんな仕事に就き、自分のどのような力が発揮できるのか」を見ることが基本ですが、最近では就労環境をリサーチする学生も増えています。就労環境は業種や職種によって違いますので、やはり自分に合った働き方をイメージして、企業研究をすることが大切です。

 昨年3月からは若者雇用促進法に基づき、企業は、新卒者の募集と併せて就労実態に関する職場情報の提供を行うこととなりました。これは、企業が学生に対して平均勤続年数や有給休暇、育休の取得実績などを提供することで、若者の早期離職を防ぐ狙いで始められた制度です。学生本人や大学を通じて、情報提供を求めることができますので、こうした制度も利用しながら、自分らしく働ける企業を見つけるというのもひとつの方法です。
大学卒業予定者の就職状況(4月1日現在)


理系、文系の枠を超えお互いに補い合い総合力を高める

ITで変わるものづくりの現場(イメージ)

―今後の大学教育に必要とされることは何でしょうか。また、必要とされる学びについてもお聞かせください。

 今世界では第四次産業革命として、AIやIоTの技術が盛んに研究され進歩を続けています。しかし、日本にはAIの専門家やITセキュリティ・マネジメントに関する人材が足りておらず、世界から取り残される危機感を感じています。こうした例から考えると、今後大学には次世代に必要とされる技術、産業、サービスを的確に捉えたより専門的な教育が求められます。

 また、新しい技術を開発するには優れた技術力が必要ですが、その技術を利用したビジネスモデルを創出するためには、法律を知り、利用環境を整備できる力が必要不可欠です。実社会で使用できるルール作りが行なわれなければ、どんなにすばらしい技術も日の目を見ることができません。これらのことから、学びの面では理系、文系の枠にとらわれない総合的な力を育む学びが必要であり、理系・文系で学生同士が補い合える環境づくりも重要となってくるのではないでしょうか。

―最後に、様々な分野で質が求められる時代になりますが、学生時代にすべきことは何か、アドバイスをお願いします。

 今後ますます世界は変化し、複雑になっていきます。こうした時代に対応できるようまずは自己研鑽に努めることが大切です。特に大学での4年間は社会人としての質を高めるために重要な時間です。できるだけ視野を広げ、多くの事に興味を持って学んでください。

就職活動を応援する愛知県・岐阜県・三重県の主な取り組み

モノづくり企業の魅力を発信[愛知県]

愛知県で行われた「中小企業経営者と学生との交流会」(平成28年度実施)

愛知県で行われた「中小企業経営者と学生との交流会」(平成28年度実施)

 愛知県では就職活動中の学生を対象に7月31日(月)、ウインクあいちで「愛知ブランド企業・ユースエール認定企業等就職フェア2017」を開催。また、就職活動中の学生に中小企業の魅力を伝える「中小企業経営者と学生との交流会」を開催するほか、1日職場見学会や「ヤング・ジョブ・あいち」でモノづくり企業魅力発信セミナーを開催し、学生と企業とのマッチングを手厚く支援しています。さらに、日本最大級の異業種交流会「メッセ・ナゴヤ」にブースを出展し、来場した学生のサポートを行うなど様々な形で学生の就職活動をバックアップしています。

学生の業界・企業研究を支援[岐阜県]

ポータルサイト「岐阜で働こう〜GIFU JOB GUIDE〜」

ポータルサイト「岐阜で働こう〜GIFU JOB GUIDE〜」

 岐阜県では、県内企業の人材確保を支援するとともに、求職者とのマッチングを推進する「岐阜県中小企業総合人材確保センター(愛称:ジンサポ!ぎふ)」を新設。
 8月下旬には、大学生を対象に「企業見学バスツアー」を5地域で実施。12月には、県内約200社が集まる合同企業展「オール岐阜・企業フェス」を開催するなど、産業界と行政が一体となって、県内企業への就職を促進しています。これらの情報は、就職活動に役立つポータルサイト「岐阜で働こう〜GIFU JOB GUIDE〜」で情報発信しています。
https://www.jinzai-gifu.jp

希望の県内企業へ就職をつなげる[三重県]

三重県で行われた「企業の魅力発見フェア」(平成28年度実施)

三重県で行われた「企業の魅力発見フェア」(平成28年度実施)

 三重県では、津駅に隣接する「おしごと広場みえ」で、三重労働局等と連携して就職情報の提供や、一人ひとりに応じたキャリアコンサルタント、県外大学生のU・Iターン就職の促進など様々な就職支援をワンストップで提供しています。10月27日(金)〜28日(土)には、四日市ドームで開催される「みえリーディング産業展2017」に合わせて「企業の魅力発見フェア」として、企業の出展ブースを直接訪問するツアーや適職診断などを行います。また、県内企業の魅力をデータベース化した「みえの企業まるわかりNAVI」では、現在、200社の情報を発信するなど、学生の県内就職を支援しています。

下記から大学の就職への取り組み、卒業生・修了生の声がご覧頂けます。※大学の新聞に掲載されている内容は、平成29年7月5日時点の情報です。

愛知大学
愛知学院大学
愛知学泉大学
愛知工業大学
愛知淑徳大学
愛知東邦大学
岐阜医療科学大学
大同大学
中部大学
東海学園大学
名古屋外国語大学
名古屋学院大学
名古屋学芸大学
名古屋商科大学
名古屋女子大学
南山大学
日本福祉大学
名城大学
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