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学生の力を伸ばす大学の教育

インタビュー:文部科学省 高等教育局 学生・留学生課長 塩崎正晴氏に聞く

 現代社会でますます高度化・多様化する企業の人材ニーズ。最近ではコミュニケーション能力や主体性に優れた人間力はもとより、世界や地域社会で活躍できる国際力や地域力が求められるようになってきています。人間力、国際力、地域力の3つの力を発揮し、新たな価値を創出する人材を育成するために大学が取り組む学びや地域との連携、また国が行う支援策などについて文部科学省 高等教育局 学生・留学生課長の塩崎正晴氏にお話を伺いました。

人間力

文部科学省 高等教育局 学生・留学生課長 塩崎正晴氏

― 技術の進歩や世界中と繋がるネットワークによって大きく変化を遂げた現代社会において、企業が人材に求める能力とはどのようなことでしょうか。

 経団連の調査によると、1番にコミュニケーション能力、次に主体性のある学生が求められており、自ら課題を見つけ、取り組むという主体的な行動ができる人材が必要とされています。

 平成29年度の大学生就職率は98%、前年同期比0.4%ポイント増と調査開始以来過去最高となりました。民間調査会社の調べでは来年卒業予定の内定率が5月の時点ですでに40%を超えているといわれ、顕著に高い水準で進むと予想されます。昨年に引き続き今年も就職率は上昇を続けていますが、誰もが希望の就職を叶えられているわけではありません。やはり高い能力を身につけた学生に対する企業の採用意欲は高く、就職後の自身のキャリアを築いていく中でも必要な力と言えるでしょう。

― 社会に必要とされる力を身につけるために、大学に入ってから学ぶべきことや経験すべきことはどのようなことでしょうか。

 1・2年次は広く教養を身につけることが求められます。最近は学部の垣根を越えて横断的に学ぶことができる大学も増え、興味の幅を広げることができるようになりました。大学でのリベラルアーツは社会に出てからきっと役に立ちます。大学は専門性を養うところではありますが、幅広い学びから早い段階で自分の適正を知ることや、社会人に必要な教養やコミュニケーション能力を身につけることも大切です。そのためには単に大学に入ることだけを目的とせず、将来を見据えて何を学び、どのような力を身につけるかを考えて大学を選ぶようにしましょう。

― 将来を見据え、学ぶ意欲の高い学生を支援するための、国や大学の取り組みを教えてください。

 平成29年度から、学力は高いけれども十分な学費を準備できない人のために、住民税非課税世帯を対象として給付型奨学金制度が導入され、今年度は約2万人に拡大されています。さらに、国は社会で必要とされる人材を育てる「人づくり革命」の一環として、昨年12月、「新しい経済政策パッケージ」の中に高等教育無償化を盛り込み、平成32年度から給付額の拡充に加え、大学等の授業料の減免などを行うことを検討しています。大学によっては、独自に授業料減免制度や各種奨学金制度を設けているところもあるので、給付等の要件も大学選びのひとつとして検討してみても良いと思います。

地域力

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― 大学にとっては、国際化とともに地域との連携も重要になります。国として、地域活性化のためにどのような支援をされていますか。

 大学の役割として、地域企業との連携は非常に重要です。国では一人でも多くの学生が卒業後、その地域に根づいて活躍していただくため、首都圏以外の大学へ進学する人を対象にした無利子奨学金の地方創生枠への推薦を行っています。また地元企業に就業した人の奨学金返還を支援するための基金を造成する自治体等も増えています。さらに厚生労働省も新卒応援ハローワークを各地方に設置し、学生の就職や定着を促進しています。

― 地元定着を選択する学生にとっても、地域での活躍の場はますます広がります。

 昨今は大都市以外にもオフィスを構える企業が多く、特にベンチャー系の企業やIT企業などは場所を選びません。各地方もこれらの企業誘致に力を注いでいます。地域から世界へ様々な情報を発信したり、ビジネスを創出する機会は沢山ありますので、大学でのグローバルな学びを活かし、地域に貢献し、世界で活躍できる人材になってほしいと思います。また外国人留学生が卒業後そのままその地域に定住して企業で働くことも、日本の将来や経済社会にとってプラスになると考えられます。一人でも多くの学生が大学での学びを礎に、地域から日本を元気にする源となってくれることを願っています。

国際力

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― 世界を舞台に活躍する人材を創出するために、中部地方でも国際的な教育を推進する大学が増えています。国としても学生の留学支援を積極的に推進しているのでしょうか。

 日本の若者を世界で活躍できる人材に育て上げることをめざす「日本再興戦略」のひとつとして、平成22年に6万人であった日本人の海外留学生数を平成32年には12万人にするという目標を掲げています。国費による学業成績が優秀な学生等を対象とした奨学金支援制度では派遣人数を増加させることができました。さらに意欲や能力のある若者の留学を促進する、官民協働の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」にも取り組んでいます。派遣留学生は支援企業とともにグローバル人材コミュニティを形成し、世界で活躍できる人材や社会で求められる人材へと醸成されていきます。

 さらに、多くの大学が各種留学プログラムや語学研修、語学支援システムを用意し、学生の海外留学を推奨しています。日本学生支援機構の調査によると、最近は学位取得で留学する学生より、語学研修などで留学する学生が増えているようです。

― 大学での留学経験によって学生はどのような価値観や力を備えることができるのでしょうか。

 居住地域に限定される高校とは違い、大学は学びのフィールドを自らで選択し多様な社会を知る場となります。そのような時期に留学をして世界を知ることは日本を見つめ直すきっかけにもなり、滞在先で出会うさまざまな経験からは問題解決能力を養うこともできます。また、世界に広がる人的なネットワークは社会に出てからも必ず役立つ心強い力となることでしょう。ぜひ早い段階で留学にチャレンジし、世界を体感して視野を広げてほしいと思います。

― 海外からの留学生受け入れも積極的に行われていますか。

 各大学の主体的な留学生交流を促すために、外国人留学生の国費留学制度を設けています。また外国人留学生が帰国後、勉学や仕事で日本での経験をスムーズに生かせているかをフォローするために、大学や外務省とも連携を図っています。現在はミャンマー、インド、ザンビア、ブラジルに海外拠点を設けていますが、本年には6拠点に増える予定です。外国人留学生とのネットワークは、日本の将来にとって重要です。学生も留学生とコミュニケーションを図ることで多様な考え方や文化を知り、より幅広い視野で物事を考えることができるようになると思います。

下記から大学の就職への取り組み、卒業生・修了生の声がご覧頂けます。

※大学の新聞に掲載されている内容は、平成30年7月4日時点の情報です。

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