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お知らせ  2023.08.29

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亜種アカモズ 絶滅させない 愛知・長野の共同チーム 初の人工ふ卵成功

 豊橋総合動植物公園(愛知県豊橋市)と人間環境大環境科学部フィールド生態学科岡久研究室(同県岡崎市)、長野アカモズ保全研究グループでつくる共同チームは28日、絶滅が危惧される渡り鳥「亜種アカモズ」の人工ふ卵と育成に、日本で初めて成功したと発表した。亜種アカモズの保全につながる画期的な成果という。

 アカモズは東アジアに広く分布するモズの仲間で、成鳥で体長20センチほど。うち日本で繁殖する亜種が亜種アカモズで、秋から冬にかけ東南アジアで過ごし、5月ごろに日本に飛来して7月ごろまで過ごす。以前は日本各地で見られたが現在は200羽ほどに減少し、環境省レッドリストで絶滅危惧種に指定されている。特に本州で生息する約100羽は3年後には絶滅するという予想もある。

 共同チームは今年5~7月、長野県内の森林で、親鳥が放棄した巣から約30個の卵を採取。適切なふ化温度を見つけ出し、13羽が半月ほどでふ化した。さらに、昆虫を小さくつぶしてひなに与えるなどし、9羽が自力で生存できる段階まで育ったという。

 共同チームは来年度も同様に放棄された卵の採取とふ化、育成を進める。さらに人工飼育下で繁殖させ個体数を増やし、将来的に野生に戻して個体数回復につなげる方針だ。

 チームメンバーの一人、豊橋総合動植物公園の木谷良平さんは「亜種アカモズの絶滅回避への第一歩を踏み出せた」と語った。(坪井千隼)

(2023年8月29日 中日新聞朝刊22面より)

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