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お知らせ  2023.07.12

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サンショウウオ 30度で「熱い」! 外界の温度感じる仕組み解明

ヤマトサンショウウオの幼生

ヤマトサンショウウオの幼生

■長浜バイオ大と生理学研究所

 高温を苦手とするサンショウウオは、約30度で「熱い」と感じる-。長浜バイオ大(滋賀県長浜市)と自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の研究グループが、そんな特性を突き止めた。温度を感知する感覚神経に着目し、サンショウウオなどの有尾両生類が外界の温度を感じる仕組みを初めて解明した。

 自らが持つ機能で涼しい環境を選び取っているとみられ、長浜バイオ大バイオサイエンス学部の斉藤修教授は「種の保存につなげる有益な情報になる」と話した。研究成果は英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

 斉藤教授によると、多くの動物は皮膚の末端にある感覚神経に温度を感知する複数のセンサーを持つ。その中で、高温に反応する「TRPV1(トリップ・ブイワン)」と呼ばれるセンサーは、一定の温度に触れると活性化し、「熱い」と感じるという。

 研究グループは、有尾両生類のアホロートル(ウーパールーパー)、ヤマトサンショウウオなど4種のTRPV1をカエルの卵細胞とヒトの培養細胞に移し、熱を与えた時の電気的な変化を記録した。その結果、約30度で大きな変化が起こり、活性化することが分かった。

 TRPV1はヒトやネズミにもあり、活性化するのは43度前後といわれる。斉藤教授によると、30度は現在分かっている動物で最も低いという。有尾両生類が他の動物よりも低い温度で「熱い」と感じるためのアミノ酸も突き止めた。

 斉藤教授は「高温センサーのTRPV1は、ヒトにも共通する痛みのセンサーでもある。活性化の仕組みが明らかになれば、痛みに関係した疾患の治療や新薬開発につながる可能性もある」と話した。(平子宗太郎)

(2023年7月12日 中日新聞夕刊8面より)

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