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2016年2月16日

子ども用の教材開発

 友人や研究室、アルバイトでの連絡に学生が活用する無料通信アプリ「LINE(ライン)」。ラインをよく使う学生が自分たちの悩みや失敗をもとに、子どもも使い方を学べる教材を開発した。 (藤原啓嗣)

LINE トラブル防ぐには

 ラインは無料でメールや通話ができる。運営するライン社(東京)によると、2011年にサービスを始め、15年12月時点で国内の6800万人が使う。スタンプ(イラスト)など文字だけでは伝わりにくい気持ちを伝える機能が人気を支えている。

 スマートフォン(スマホ)などでメッセージを確認すると「既読」というお知らせが出るのが、ラインの特徴だ。返信が遅くなると「読んだはずなのに」と気分を悪くする利用者が出て、「既読スルー」という言葉もうまれた。

 複数で同時にメッセージをやりとりする機能「グループトーク」でも、ある人を仲間外れにする「ラインはずし」の問題も起き始めた。

 問題を受け、同社は13年、情報モラルを研究する静岡市駿河区の静岡大教育学部の塩田真吾准教授(34)にラインの使い方を考える教材の開発を依頼。より若い視点を取り入れようと、研究室の学生も協力した。

言葉の感じ方の違い学ぶ

 中心になったのは、静岡大大学院共同教科開発学専攻の博士後期課程1年の酒井郷平さん(25)。酒井さんは、ラインが出始めたころから使っている。メールよりも気軽に感じたため、文面を確認せずに送って関係が気まずくなった経験も。

 酒井さんは、研究室の仲間にラインなどSNS(会員制交流サイト)で起きた嫌なことを聞き取りした。「冗談のつもりで送った言葉に相手は傷ついていた。返信が遅いと気持ちが伝わっていないのか不安になる」「友人との集合写真を気軽に短文投稿サイトのtwitter(ツイッター)に投稿された。仲間だけで見てほしかった」などの意見があった。

 酒井さんは、小中学生向けにラインを使う際の注意点を教えるカードサイズの教材を考案した。

 カードは5枚1組で「まじめだね」「おとなしいね」「一生懸命だね」「個性的だね」「マイペースだね」と一見、褒め言葉にも取れる言葉が書いてある。啓発の授業では、小中学生が5枚のカードを手に取り、自分がラインで言われたら嫌な順番に並べる。クラスメート同士でカードの順番を比較することで、他の人と感じ方の違いを知ってもらうのが狙いだ。

 酒井さんは「まだラインを使ったことがない小中学生にも、注意点を分かりやすく伝えたい」という。

 カードの裏面にも「すぐに返信がない」「自分が一緒に写っている写真を公開される」とSNSでされたら嫌なことが書いてあり、並べられる。教材はライン社に申請するとホームページからダウンロードできる。

 開発に協力した理学部4年の吉田昇平さん(22)は昨年末、このカードを使い、神奈川県厚木市北小学校で5、6年生に特別授業をした。酒井さんは「ラインも結局は生身の人間とのやりとり。相手を思いやる気持ちがトラブルを防ぐはず」と訴える。

お年寄り向けに教室も


 名古屋市名東区の愛知東邦大では1月、お年寄りにスマホやタブレットの使い方やラインの仕組みを教える教室が開かれた。経営学部の上条憲二教授(63)の授業を受ける4年生5人が企画し、近所に住むお年寄り17人がタブレットを操作した。

 学生が一人暮らしのお年寄り30人に聞き取り調査すると、ラインなどの使い方を覚えて、連絡手段に使いたいと答える人が多かったのがきっかけ。スマホを持たない人がほとんどだったので、大学のiPad(アイパッド)を貸し出し、動画の見方や検索方法などを覚えてもらった。学生が「ラインは無料でテレビ電話のような使い方もでき、お孫さんとも手軽に連絡が取れ合えます」とお年寄りに説明し、好評だった。

 上条教授は「若者が得意な最新通信機器やラインの使い方を高齢者に教えることを通じて、世代間の交流ができる。今後も教室を開きたい」と話した。

(写真上)ラインの使い方を小中学生に啓発するために静岡大の学生が作ったカードサイズの教材
(写真中)ラインについて話し合う塩田真吾准教授(左)と酒井郷平さん(左から2人目)、吉田昇平さん(右から2人目)ら研究室のメンバー=静岡市駿河区の静岡大で
(写真下)お年寄りにiPadの使い方を教える学生=名古屋市名東区の愛知東邦大で

編集部|2016年2月16日 11:50 am