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2014年9月09日

書店でお薦め本紹介 大学図書館ボランティア 店頭に手作りコーナー

 大学図書館でボランティアとして活動する大学生が、街の書店の店頭でお薦めの本を紹介する企画が相次いでいる。若者の読書離れが進むといわれる中、本と向き合う学生をみた。 (土屋晴康)

本を並べる金城学院大図書館のボランティア「リリアン」のメンバー=愛知県豊山町の紀伊国屋書店名古屋空港店で

 手作りの旗やポップで飾られた棚には、「Girl●Girl●125」の文字が。大木を模した手作りのオブジェの洞(うろ)には、「森の中の図書館大賞」を受賞した小説「うさぎパン」(瀧羽麻子著)の文庫本が置かれた。

 紀伊国屋書店名古屋空港店(愛知県豊山町)で、金城学院大(名古屋市守山区)の学生が手掛けた展示だ。18日まで開催する。図書館学生ボランティア団体「リリアン」の手によって、ほかの棚とは雰囲気が異なる独特の世界が広がっていた。

 店頭展示のきっかけとなったのは、読書を奨励するために昨年6月に大学図書館が設置した「つぶや木」。好きな本の感想を書いて、葉に模したシールを貼る企画には8カ月で、学生から272作品が寄せられた。

 その中から学生に投票してもらって、上位30作品を決めたのが「森の中の図書館大賞」。店頭展示は、取り組みを知った同書店が持ち掛け、学生らが受賞30作に95作を加えた125作を「Girlが選んだGirlに贈る125冊」としてセレクトした。

 学生が書店で、図書館の蔵書を選ぶ選書ツアーは多くの大学図書館で行われているが、実際に書店と協働して店頭展示を行うのは珍しい。

 展示のテーマは大人の少女をイメージした「大人ガーリー」。理由を和田紗綺(さき)さん(4年)は「若い女性は少し背伸びして、大人の女性はかわいらしく。幅広い女性に手に取ってほしかった」と話す。よく書店を利用するという尾関未紗さん(2年)は「有名人やベストセラーに偏らず、古典なども含め自信を持って薦められる本を取り上げた。人生の軸になるような本との出合いをアシストしたい」と自信を見せる。

 同大は学術書や専門書などのイメージが強かった大学図書館で、2008年度に学生から学生のボランティアを募集した。選書ツアーや本を紹介するポップづくりなど、図書館の魅力づくりを手伝い、学生の目線を図書館に加えている。

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 椙山女学園大の図書館ボランティア「ライブラリーサポーター」もこの秋、大手書店での店頭展示に挑んでいる。

 学生たちは4月から、展示する名古屋市内の2店舗を1週間にわたって調査。平日、休日の昼夜、どの分野の棚に人が集まるのかを探った。

 その結果、丸善名古屋栄店では比較的年配の客が目立った。このため、管理栄養士の卵である管理栄養学科の学生を中心に「健康美人」をテーマにお薦めの本を選んだ(展示は9月中)。名古屋駅に近い三省堂名古屋高島屋店では若年層が多かったことから、留学経験のある国際コミュニケーション学部の学生らが「留学・海外旅行」をテーマにした(同10月中)。

 サポーターの活動は各自の専門性を生かせるように心掛けている。生活科学部生活環境デザイン学科の学生は、図書館の装飾ライトを手作りした。図書館職員の荒木希衣子(けいこ)さんは「各学部の学びを生かして活動してもらっている。社会に出たときにも役立つはず」と話した。

4割が読書時間「ゼロ」

 学生が図書館に関わる事例は増えている。学生目線での図書館の変革について、筑波大図書館情報メディア系の逸村裕教授は「図書館同士互いに学び合ってきた歴史があり、全国的な流れ」と指摘する。

 しかし、変革がすぐに、学生の読書時間の増加につながるかは未知数だ。全国大学生活協同組合連合会の実態調査では、4割が読書時間が「ゼロ」と答えている。逸村教授は、図書館との関わりが全体の読書離れの歯止めになるかは「やってみなければわからないのが正直なところ」という。

 大学図書館は設立当初から、蔵書などの面で学生への配慮はされていたが最近では、大学が受け入れる学生の多様化にともなって、「学習支援、教育活動への直接の関与」も求められるようになった。学生が書店の展示にかかわる活動も、図書館を通したキャリア教育の一環という。逸村教授は「本来は学術書などの資料を基に、ネット検索以外の情報の探し方や論文の書き方など、情報リテラシーを身に付けさせる場」と大学図書館の役割を話した。

(注)●はハートマーク

(写真)本を並べる金城学院大図書館のボランティア「リリアン」のメンバー=愛知県豊山町の紀伊国屋書店名古屋空港店で

編集部|2014年9月09日 10:30 am