中部の大学関連ニュース

大同大新学長に神保さん 女性も居心地いい大学に 専業主婦経て再び研究

新学長に就任する大同大の神保睦子教授=名古屋市南区で
新学長に就任する大同大の神保睦子教授=名古屋市南区で

 大同大(名古屋市南区)の新学長に、子ども2人を育て上げ、専業主婦経験もあるという工学部教授の神保睦子さん(63)が就任する。女性研究者が少ない理系の中でも、神保さんが専門とする電子工学などの工学系は男性が9割以上とされる圧倒的な男社会。神保さんは、細く険しい「リケジョ」(理系女子)の道を切り開いてきた。(坪井千隼)

 子どもの頃から理科の実験や工作が大好きで、模型飛行機や電磁石を組み立てて遊んでいたという。大学卒業後「大学の研究者なら実力で勝負ができると思った」と研究者を志した。

 卒業して間もなく、研究仲間と結婚し、長男を出産。名大大学院の修士課程を修了した後、次男が生まれた。研究者と母親…。悩んだ末、研究生活を中断し、専業主婦として5年を過ごした。

 育児に少し余裕ができ、名大大学院の博士課程に進んだのは35歳のとき。3年後、大同大の助手に就任してからは順調にキャリアを積み、ハードディスクやパソコンの大容量メモリーで使われる磁性薄膜では全国でも名を知られるようになった。

 神保さんによると、多様な視点を確保しようと女性の技術者、研究者を雇いたがる企業は多い。「女性自身が、たとえ回り道をしてもやりたいことを諦めないことが大切。その上で、社会が育児と仕事を両立させやすい環境整備をもっと進めるべきだ」と強調する。

 まずは丼ものや油ものが多い食堂のメニューや、談話スペースなどのイスのデザイン変更といった、小さなことから始めたいという。「女性の目線で女子学生に居心地のいい大学づくりを進める。女子高校生や保護者の方に、理工系大学の強みをもっとアピールしたい」と訴える。

 文部科学省や国立大学協会、日本私立大学連盟、日本私立大学協会によると、正確なデータはないものの、理工系大学での女性学長就任は確認されておらず、初とみられる。ジェンダー問題に詳しく、理系大学・学部の女子学生比率などを調査した山形大の河野銀子教授(教育社会学)は「理工系、中でも工学系は、研究者も学生も女性が極端に少ない。だが女性人材を求める社会のニーズは高い。女性学長の誕生は象徴的な意味があり、期待したい」と話す。

(2017年1月25日 中日新聞夕刊12面より)

[2017.01.25]

一覧を見る